カテゴリー: ファクタリング

でんさいファクタリングとは?でんさい割引との違いからメリット・デメリットまで詳しく解説

事業者の資金調達と決済の円滑化を目的として創設された「でんさい」。
知名度の割には普及率が低く、2022年6月時点の中小企業の導入率は8.5%となっています。
特に、利用者登録数が40万社を超えたあたりから普及が鈍化しており、2015年1月から2023年8月までの8年8ヶ月間では8万5487社の増加(40万2202社→48万7689社)に過ぎません。
年あたり2%程度の増加率ですから、普及にはまだまだ時間がかかることでしょう。
とはいえ、でんさいを導入する会社が増えていることは事実であり、でんさいによる資金調達も徐々に発達しています。
この記事では、でんさいを用いた資金調達方法のひとつである「でんさいファクタリング」について詳しく解説します。

でんさいとファクタリングの基礎知識

でんさいファクタリングは、決済手段である「でんさい」と、金融サービスである「ファクタリング」を組み合わせた資金調達方法です。
でんさいファクタリングを理解するためにも、まずはでんさいとファクタリングの基礎知識について解説します。

でんさいとは?

でんさいファクタリングを理解する上でややこしいのが「でんさい」です。
でんさいとは何か、電子記録債権とどう違うのか、でんさいとでんさい割引はどう違うのか…
まずは、これらを紐解いていきましょう。

電子記録債権とは

でんさいは電子記録債権の一種です。
したがって、でんさいを理解するには電子記録債権について知る必要があります。
企業間の信用取引によって債権が発生したり、あるいは債権を譲渡したりした場合、従来は債権の管理になにかと問題がありました。
例えば、手形債権を受け取った会社は、手形の現物を保管する必要があります。
支払企業は手形の振出にコストがかかり、受取企業も手形の紛失・盗難リスクに対処しなければなりません。
また、手形割引によって早期資金化したり、裏書譲渡によって決済に用いたりする場合には分割ができず、額面金額すべてが対象となります。
売掛債権(売掛金)にも様々な問題があります。
売掛債権(売掛金)の譲渡には、架空債権や二重譲渡のリスクがつきものです。
対抗要件を備えるために、債務者への債権譲渡通知を行ったり、登記所で債権譲渡登記を行ったりと、何かと手間がかかります。
これらの問題を解消するために創設されたのが電子記録債権です。
電子記録債権は、債権に関するあらゆる情報を電子的に記録することによって、債権の権利内容を確定します。
債権の発生・譲渡を電子データの送受信によって行い、記録機関の記録原簿で管理するため、従来の手形に比べてコストが安く、分割も可能です。
また、電子記録によって債権の情報を可視化することにより、架空債権詐欺や二重譲渡のリスクも回避でき、対抗要件も具備されます。

でんさい≒電子記録債権

ネット上には、「でんさいは電子記録債権の略称」とする情報もみられますが、これは誤りです。
冒頭で述べた通り、でんさいは「電子記録債権の略称」ではなく「電子記録債権の一種」と考えてください。
全国銀行協会が設立した電子債権記録機関の通称を「でんさいネット」、でんさいネットが取り扱う電子記録債権を「でんさい」といいます。
電子債権記録機関は複数存在し、でんさいネットはその中のひとつです。
したがって、でんさいは「でんさいネットが取り扱う電子記録債権」に限られ、「でんさい≠電子記録債権」というわけではありません。
しかしながら、現時点において最もメジャーな電子記録債権はでんさいですから「でんさい≒電子記録債権」と考えて差し支えないでしょう。

でんさいは早期資金化できる

でんさいファクタリングを理解する上で、もうひとつ押さえておきたいのが「でんさい割引」です。
銀行や手形割引業者に依頼し、約束手形を早期資金化することを手形割引といいます。
簡単にいえば、でんさい割引はでんさいに手形割引の仕組みを応用したものです。
これにより、でんさいを資金調達に活用できます。

ファクタリングとは?

ファクタリングは、会社が所有している売掛債権(売掛金)を売却する資金調達方法です。
売掛金は、信用取引によって発生する金銭債権です。
支払期日には売掛先から代金を回収できるため、売掛債権(売掛金)は額面金額に近い価値を有します。
その価値に応じて、ファクタリング会社に買い取ってもらうのがファクタリングです。
ファクタリング会社は売掛債権(売掛金)・売掛先を審査し、買い取ることによって生じるリスクを測り、額面金額から手数料を差し引いて買い取ります。
手数料の分だけ額面金額が目減りするものの、支払い期日を待たずに回収できるがファクタリングのメリットです。
ファクタリングは、内部資産である売掛金によって調達するため、内部資金調達に含まれます。
銀行融資などの外部資金調達とは審査基準が異なるため、融資を受けられない会社でも、ファクタリングならば資金調達できる可能性が高いです。
このため、銀行融資依存の緩和策として、政府もファクタリングを推奨しています。

でんさいファクタリングとは?

従来、でんさいの早期資金化はでんさい割引、売掛債権(売掛金)の早期資金化はファクタリング、という明確な区別がありました。
しかし最近では、でんさいとファクタリングを組み合わせた「でんさいファクタリング」も登場しています。
でんさいファクタリングは、でんさいを割引によって早期資金化するのではなく、でんさいをファクタリングによって早期資金化するサービスです。
でんさいファクタリングと一般的なファクタリングでは、利用のイメージが大きく異なります。
というのも、早期資金化の際に用いるネットワークが異なるためです。

でんさいネットを用いたファクタリング

でんさいは、でんさいネットの中で流通する電子記録債権です。
でんさいネットに加盟している金融機関は1300を超え、支払企業と受取企業の双方がでんさいネットに登録することで、でんさいの利用が可能となります。
逆に言えば、でんさいはでんさいネットの中だけで流通しており、でんさいファクタリングもでんさいネットの仕組みの一部です。

一般的なファクタリングはネットワークに依存しない

これに対し、一般的なファクタリングはでんさいネットのようなネットワークを持ちません。
ファクタリングは売掛債権(売掛金)の売却であり、売掛債権(売掛金)は信用取引によって発生します。
自社が商品やサービスを提供した後、売掛先に対して請求書を発行し、売掛先がこれを受理することで売掛債権(売掛金)が発生するのです。
このとき、売掛債権(売掛金)は特定のネットワークで発生するわけではありません。
売掛債権(売掛金)を売却する際にも、何らかのネットワークを介するのではなく、ファクタリング会社に申し込むことで売却します。

つまり、でんさいファクタリングと一般的なファクタリングには以下の違いがあります。

  • でんさいファクタリング…特定のネットワーク(でんさいネット)に依存した取引
  • 一般的なファクタリング…特定のネットワークに依存しない取引

でんさいファクタリングとでんさい割引の共通点と違い

でんさいは、でんさいファクタリングまたはでんさい割引によって早期資金化できます。
ここで問題となるのが、でんさいファクタリングとでんさい割引の違いです。
割引とファクタリングのどちらでも資金化できるというだけでは、優劣が非常に分かりにくいのです。
このため、「でんさい割引=でんさいファクタリング」と考える人も少なくありません。
確かに、でんさいファクタリングとでんさい割引には共通点もありますが、様々な点で異なります。
ここでは、でんさいファクタリングとでんさい割引の共通点と違いを解説します。

でんさいファクタリングとでんさい割引の共通点

でんさいファクタリングとでんさい割引の共通点は、主に二つあります。

どちらも早期資金化

でんさいファクタリングとでんさい割引は、どちらもでんさいの早期資金化です。
でんさい割引は、電子記録債権の一種であるでんさいを割り引き、支払期日を待たずに資金化します。
でんさいファクタリングは、でんさいをファクタリング会社に売却することによって、支払期日を待たずに回収するものです。
割引かファクタリングかという違いはあるものの、どちらも早期資金化である点では変わりません。

どちらも債権譲渡取引

債権譲渡取引という点でも共通しています。
そもそも「割引」とは、手形割引を意味する言葉です。
従来の手形を電子化した「でんさい」に対し、手形割引の仕組みを応用したことにより、これを「でんさい割引」と呼ぶようになりました。
手形割引は、法的には「手形債権の売買」であり、債権譲渡にあたります。
このように考えると、でんさい割引が債権譲渡であることが分かるでしょう。
でんさいファクタリングも、法的には債権譲渡に含まれます。
このことは、金融庁のファクタリングの定義からも明らかです。

一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。

出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」

でんさいファクタリングとでんさい割引の違い

どちらも早期資金化であり債権譲渡ですから、ほとんど同じようにみえるかもしれません。
しかし、でんさいファクタリングとでんさい割引は複数の点で異なります。
代表的な違いを4つ紹介します。

でんさいの売却先が違う

まず、でんさいの売却先が異なります。
でんさい割引は、でんさいネットで発生したでんさいを、窓口金融機関にでんさい割引を依頼することで売却します。
ポイントは、窓口金融機関に売却する点です。
手形割引を金融機関に依頼するように、でんさい割引も金融機関に依頼して売却するのです。
一方、でんさいファクタリングは、ファクタリング会社に依頼することで早期資金化します。
金融機関ではなく、でんさいネットに加入しているファクタリング会社に売却するのが特徴です。

契約の違い

でんさい割引とでんさいファクタリングでは契約も異なります。
でんさい割引を利用するには、まずはでんさいネットに加入しなければなりません。
金融機関にでんさいの利用を申し込んで審査を受け、問題がなければでんさいの利用契約を結びます。
この時点では、まだでんさい割引はできません。
でんさい割引を利用するには、電子記録債権割引利用契約書を締結する必要があります。
以上の契約を結べば、好きな時にでんさい割引を利用できます。
でんさい割引の度に個別の契約を結ぶこともありません。
でんさいファクタリングの場合、必ずしもでんさいネットの利用契約は不要です。
でんさいネットに加入していない場合にも、SPC(でんさいファクタリングのための特別目的会社)を通してでんさいの発生記録請求を行い、でんさいの早期資金化ができるのです。
ただし、ファクタリングに関する取り決めとしてファクタリング契約を結ぶ必要があります。

償還請求権の違い

償還請求権の違いにも注目してみましょう。
償還請求権とは、譲渡した債権が回収できなくなった場合、譲受人から譲渡人に買い戻しを求める権利のことです。
でんさい割引は「償還請求権あり」ですが、でんさいファクタリングは「償還請求権なし」が原則となります。
でんさい割引や手形割引など、およそ割引という仕組みは「償還請求権あり」が前提です。
でんさいが支払不能(手形でいう不渡り)になった場合、割り引いたでんさいを買い戻さなければなりません。
これに対し、でんさいファクタリングは償還請求権なしで取引します。
ファクタリングした売掛金が回収不能になっても、利用会社は何ら責任を負いません。
貸倒損失は全てファクタリング会社が負担します。
これにより、でんさいファクタリングは貸倒れリスクの回避にも役立ちます。

手数料の違い

でんさい割引やでんさいファクタリングで資金調達する際に気になるのが手数料です。
両者の手数料は、基本的には「でんさい割引<でんさいファクタリング」と考えて良いでしょう。
でんさい割引の手数料(割引料)の相場は、年利換算で1.5~5.5%程度です。
これに対し、でんさいファクタリングには手数料の目安が存在しません。
でんさいファクタリングを取り扱っているファクタリング会社が非常に少なく、軒並み手数料を非公開としています。
しかし、でんさいファクタリングは償還請求権がなく、ファクタリング会社が負うリスクがやや高いです。
このリスク分が手数料に上乗せされると考えてください。
したがって、でんさいファクタリングの手数料は「でんさい割引の手数料よりやや高め」といったイメージです。

でんさいファクタリングのメリット・デメリットとは?

現在電子データで記録できる新しい金銭債権が話題となっています。

でんさいとは「電子記録債権」の略であり、でんさいネットを活用することででんさいの分割であるとか割引さらには譲渡が簡単にできるなどのメリットが有るのです。

多くの企業が導入を検討し始めており、実際に導入をしているところもあります。

そのでんさいを用いたファクタリングが「でんさいファクタリング」です。

「でんさい」をファクタリング業者に売却することで資金を得ることになります。

仕組み自体は通常のファクタリングと同じです。

こちらではでんさいファクタリングにおけるメリットとデメリットをお伝えします。

ファクタリングについての詳しい説明はこちら

でんさいファクタリングのメリット4つ!

まずは、でんさいファクタリングのメリットからみていきましょう。
でんさいファクタリングの主なメリットは以下の4つです。

①早期の資金化が可能
②実質審査が不要である
③ノンリコースである
④ファクタリング手数料が抑えられている

①短時間で資金調達が可能である

通常のファクタリングも即日対応できますが、でんさいファクタリングに関しても最短即日の資金化が可能となっています。

でんさいファクタリングはデータ化されているので、売掛金の確認も通常のファクタリングよりも早くなるなど特にスピードに関してはメリットがあります。

早急な資金調達をしなければならない、といった状況にも対応できるのがでんさいファクタリングなのです。

②審査なしで利用できるケースも

でんさいを利用するためには「でんさいネット」に加入しなければなりません。

そして加入をするためには、でんさいネットの審査を受けている、ということになります。

要は信用のない会社は利用できません。

よってでんさいファクタリングについては、ファクタリング業者として「リスク」がほとんどない、ということになるので実質的に審査は行われません。

通常のファクタリングと比較すると「審査落ちの確率が格段に低い」といったメリットがあるわけです。

③償還請求権なし

でんさいファクタリングでは「償還請求権なし」の設定となっています。

仮に売掛先が支払えなかったとしても変わりに自社が対応する必要はありません。

仮に「償還請求権あり」になってしまうと、売掛先が支払不能に陥ったときには変わりに支払わなければなりません。

そういったリスクを背負わなくてもよいのが「償還請求権なし(ノンリコース)」なのです。

④ファクタリング手数料が低め

でんさいを利用するにはそれなりの企業の信用がなければなりません。

よってでんさいを利用している企業であれば信用があるということになるのでファクタリング手数料については低めに抑えられているのです。

少しでも高額の資金調達を行いたい、という方にもでんさいファクタリングは適しています。

ファクタリングのメリットについての詳しい説明はこちら

でんさいファクタリングのデメリット3つ!

次に、でんさいファクタリングのデメリットを紹介します。
でんさいファクタリングの主なデメリットは以下の3つです。

①そもそも普及率が低い
②確実に売掛先にファクタリングがバレてしまう
③対応しているファクタリング業者が少ない

①でんさいを利用している企業は1%にも満たない現実

でんさいを利用した取引については導入率が低いのです。

ほとんどの企業は今までどおりの売掛金などを活用しているので、でんさいを利用したファクタリングについてはかなりのハードルがあります。

でんさいを用いた取引を導入していたとしても、取引の一部に過ぎない、という事になってしまうので、複数の企業の売掛金を利用した大規模なファクタリングは難しいのです。

②売掛先から信用を失ってしまう可能性あり

でんさいについては、売掛金が現状でどの様になっているかが利用者は確認できます。

よってファクタリング業者に譲渡されたことも売掛先が確認できてしまうのです。

電子記録債権については「ガラス張り」となっているので、ファクタリングの事実を知られずには行えません。

③ファクタリング業者もでんさいに加入していなければ利用できない

業者の選択肢が限りなく少ない、といったデメリットにも目を向けなければなりません。

でんさいを導入しているファクタリング業者の数が圧倒的に少ないのです。

現状では銀行の子会社となっているファクタリング業者のみの対応となっているので、選択肢は限られてしまいます。

ファクタリングのデメリットについての詳しい説明はこちら

でんさいファクタリングと普通のファクタリングを徹底比較!

 
でんさいをファクタリングする「でんさいファクタリング」について解説しました。
しかし、ここまでの解説を読んでみて、
「でんさいファクタリングと普通のファクタリング(一般的な売掛金のファクタリング)はどっちがいいの?」
と思った人もいるはずです。
その疑問にお答えするためにも、でんさいファクタリングと普通のファクタリング(以下、ファクタリング)を比較し、どちらを利用すべきかをみていきましょう。

安全性を比較

 
「ファクタリング」と聞くと、安全性や違法性が気になる人もいるかもしれません。
でんさいファクタリングにせよ、普通のファクタリングにせよ、安全に資金を調達したいものです。
そこで、まずはでんさいファクタリングとファクタリングの安全性を比較してみましょう。

でんさいファクタリングの安全性

 
でんさいファクタリングは、安全性に優れています。
でんさいネットは公共性が高く、運用に携わっているのは金融機関です。
金融機関は金融庁の監督を受けており、悪質業者の排除に積極的に取り組んでいます。
実際、でんさいファクタリングを提供しているファクタリング会社は、例外なく法律を順守しています。
ファクタリング会社がでんさいを買い取る(でんさいの譲渡を受ける)際には、でんさいネットで譲渡記録請求を行う必要があります。
つまり、でんさいファクタリングを提供しているファクタリング会社は、必ずでんさいネットに加入しているということです。
もし、違法業者であれば、そのファクタリング会社がでんさいネットの加入審査に通ることはありません。
でんさいネットを利用する要件のひとつには「暴力団員等ではないこと」が含まれており、悪質・違法な業者は審査に通らないのです。
したがって、でんさいファクタリングの安全性は高いと考えてよいでしょう。

ファクタリングの法的根拠

 
普通のファクタリングはどうでしょうか。
日本におけるファクタリングの歴史は浅く、正しい知識が十分に浸透していません。
このため、ファクタリングをグレーゾーンの取引、悪質・違法な取引と考える人もいます。
しかし、ファクタリング自体は合法的な仕組みであり、法的根拠もあります。
金融庁の定義にもある通り、ファクタリングは法的に債権譲渡です。
そして、債権譲渡は法律で認められています。

(債権の譲渡性)
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

出典:出典:e-Gov法令検索「第四節 債権の譲渡」
民法第466条をみれば、債権譲渡が合法であることは明らかです。
債権譲渡が合法である以上、その一種であるファクタリングも合法というわけです。
この法的根拠は、ファクタリングだけにとどまりません。
債権譲渡が合法だからこそ、でんさいを譲渡するでんさいファクタリングも合法といえるのです。
法的根拠によって比較するならば、でんさいファクタリングも普通のファクタリングも同じであり、安全性にも大差はないといえます。

ファクタリングの安全性

 
それでも、「ファクタリングは危険」といった意見が少なくありません。
これは、ファクタリングが違法だからではなく、ファクタリングを装う違法業者が存在するためです。
ファクタリングが急速に普及していく一方で、ファクタリングに関する法整備は不十分な状況です。
特に、ファクタリング業に対する規制はほとんどありません。
例えば、新規にファクタリング業を開業する際に登録や免許などは必要なく、手数料率の上限規制もありません。
貸金三法(貸金業法、利息制限法、出資法)で厳しく規制されている貸金業と比べると、非常に規制が甘いといえます。
このため、ファクタリング業を装う悪質業者が紛れ込んでいるのです。
悪質業者について、金融庁は以下のように注意を喚起しています。

中小企業の経営者などを狙い、貸金業登録を受けていない者が、ファクタリングを装って、業として、貸付け(債権担保貸付け)を行っている事案が確認されています。

出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
金融庁の注意喚起には、「貸金業登録を受けていない者」とある点に注目してください。
無登録営業は貸金業法違反にあたり、闇営業の違法業者を一般に「ヤミ金」といいます。
つまり、「ファクタリングを装う悪質業者≒ヤミ金」ということです。
被害の事例をみると、悪質業者はファクタリングを装って違法金利で貸付け、違法な取り立てを行っています。
このようなヤミ金まがいのファクタリングを利用すれば、経営への悪影響は避けられません。

結論:安全性を重視するならでんさいファクタリングを

 
でんさいファクタリングと普通のファクタリングは、法的根拠は同じでも、安全性は異なります。
でんさいファクタリングを提供している業者は、でんさいネットへの加入の必要性から、クリーンであることを求められます。
ファクタリング業に関する規制はなくとも、でんさいネットの存在が強力な規制になるのです。
しかし、単なるファクタリングは、法的にも、実際の運用の上でも目立った規制はありません。
悪質業者がはびこりやすい環境であり、安全性に問題が残ります。
この意味において、でんさいファクタリングの方が安全性は高いといえるでしょう。
安全性を重視するならば、でんさいファクタリングを検討してみてください。
もっとも、ファクタリングを装う悪質業者にはいくつかの特徴があり、それを知っておけば簡単に回避できます。
したがって、「でんさいファクタリングのほうが安全」ということは、「普通のファクタリングは危険」ということではありません。
双方の安全性を正しく理解し、選ぶことが大切です。

利便性を比較

 
資金を調達する上で、利便性の比較も重要です。
でんさいファクタリングの利便性と、ファクタリングの利便性を比較してみましょう。

でんさいファクタリングの問題点

 
でんさいファクタリングは、利用会社がでんさいネットに加入していなくても利用できます。
しかし、売掛先はでんさいネットへの加入が必須です。
納入企業(でんさいファクタリングの利用会社)は、支払企業(売掛先)からでんさいを受け取り、それをでんさいファクタリングによって早期資金化できます。
一方、支払企業は、支払期日にでんさいを決済しなければなりません。
したがって、支払企業がでんさいを決済できる環境にあること(でんさいネットに加入していること)が条件となります。
当然ながら、売掛先がでんさいネットに加入しておらず、でんさいを発行できなければ、利用会社もでんさいファクタリングを使えないのです。
でんさいの普及率が低いことを考えると、でんさいファクタリングでの調達は利便性が低いと言わざるを得ません。
これが、でんさいファクタリングの大きな問題点です。

手形取引の習慣がある業種ほど利便性が低い

 
では、手形取引の習慣がある業種はどうでしょうか。
建設業などは、未だに手形で取引するケースが多いため、でんさいファクタリングとの親和性も高いイメージがあるかもしれません。
しかし、でんさいの普及率はどの業種でも低く、でんさいファクタリングの利便性も低いです。
むしろ、手形取引の習慣が根強い業種ほど、でんさいファクタリングの利用環境は悪いといえます。
手形取引のうち、でんさいが占める割合はごくわずかです。
少し古いデータになりますが、2018年のデータによると、でんさいの発生件数は267万件となっています。
同年の手形取引の全体についてみると、手形交換枚数は5136万枚。
手形取引全体に占めるでんさいの割合は、約5%に過ぎません。
なぜこのように普及率が低いのかといえば、中小零細企業ほどIT化の動きが鈍いためです。
建設業の場合、でんさいネットに加入しているのは一部の元請けだけで、下請けの多くはでんさいネットに加入していません。
この状況から、裏書譲渡など使い勝手の良さを理由に、建設業者の多くがでんさいよりも紙の手形を好むことが分かります。
手形取引の習慣が根強い業種ほど、「紙の手形>でんさい」という考え方も根強く、でんさいファクタリングの利便性は低くなると考えられます。
つまり、でんさいファクタリングは、手形取引の習慣があまりない業種だけではなく、手形取引の習慣がある業種でも利便性が低いのです。

ファクタリングは利便性が高い

 
普通のファクタリングには、でんさいファクタリングのような問題はありません。
他の資金調達方法に比べて利便性が高いことは、ファクタリングの代表的なメリットです。
でんさいファクタリングのように、利用環境がシビアということもなく、支払期日前の確定債権があれば、簡単に利用できます。

結論:でんさいファクタリングよりもファクタリングが便利

 
でんさいファクタリングとファクタリングの利便性について、結論を出しましょう。
ファクタリングは、簡単な書類だけで利用でき、様々な利用に対応しています。
オンライン・オフラインのいずれにも対応しており、売却できる売掛金の種類も様々です。
一般的な売掛金だけではなく、診療報酬債権・介護報酬債権、サービスによっては将来債権までファクタリングできます。
売掛金を早期資金化する買取ファクタリング以外にも、売掛金の支払いを保証する保証ファクタリングもあります。
さらに、国際ファクタリングを利用すれば、海外企業に対する売掛金もファクタリングの対象です。
でんさいファクタリングには、ファクタリングのような利便性は期待できません。
売却できる売掛金は限られており、特殊な売掛金ほどでんさいファクタリングの利用は困難です。
また、でんさいファクタリングには保証機能はありません。
もちろん、でんさいファクタリングは国際取引にも利用できません。
国際取引では、支払企業(売掛先)は海外の輸入企業です。
でんさいネットの利用条件のとして、「日本国居住者であること」が挙げられています。
当然ながら、海外企業がでんさいネットに加入することはできません。
つまり、海外企業の売掛金がでんさいということはあり得ず、でんさいファクタリングも利用できないというわけです。
以上の比較から、でんさいファクタリングよりもファクタリングのほうが、圧倒的に利便性が高いことは疑いがありません。

信用リスクを比較

 
資金調達の際、方法によっては信用リスクを伴います。
売掛先や銀行などの信用が悪化する恐れがあるのです。
信用リスクの観点から、でんさいファクタリングとファクタリングを比較してみましょう。

譲渡の方式と信用リスク

 
信用リスクを知る上で欠かせないのが、譲渡の方式を知ることです。
でんさいファクタリングならばでんさいを、通常のファクタリングならば売掛金を譲渡するわけですが、譲渡の方式は複数あります。
方式を大別すると、2社間方式と3社間方式、そして2社間方式をオンライン化した方式の三つです。
それぞれを簡単にまとめると以下のようになります。

  • 2社間方式:利用会社とファクタリング会社の2社間で取引する方式
  • オンライン方式:2社間方式の取引を全てオンラインで行う方式
  • 3社間方式:利用会社、ファクタリング会社、売掛先の3社間で取引する方式

2社間方式と3社間方式の最大の違いは、売掛先が関与するかどうかです。
売掛先にファクタリングの利用を知られると、場合によっては資金繰り難を疑われたり、今後の取引に影響したりすることがあります。
2社間方式は、利用会社とファクタリング会社の2社間で取引するため、売掛先は一切関与しません。
つまり、2社間方式には信用リスクがないのです。
オンライン方式も2社間取引ですから、信用リスクがありません。
3社間方式は、売掛先が必ず関与するため注意が必要です。
例えば、売掛先への債権譲渡通知が必須です。
ファクタリングの利用を売掛先に知られるため、信用が悪化するリスクがあります。

でんさいファクタリングと信用リスク

 
では、でんさいファクタリングの信用リスクはどうでしょうか。
結論からいうと、でんさいファクタリングには信用リスクが伴います。
というのも、でんさいファクタリングの利用は売掛先に知られるためです。
表面的には、でんさいファクタリングは2社間方式に分類できます。
でんさいファクタリングを利用し、でんさいを譲渡するときのフローは以下の通りです。

    1. 債権者(譲渡人・利用会社)は、窓口金融機関を通じて譲渡記録請求を行う。
    2. でんさいネットは譲受人(ファクタリング会社)の窓口金融機関を通じて、譲渡記録を行ったことを譲渡人に通知する。

以上の流れに売掛先は関与しません。
しかし、支払企業である売掛先はでんさいネットに加入しており、でんさいの状況をいつでも確認できるのです。
フローとしては2社間方式でも、実質的には3社間方式と変わらない信用リスクがあります。
売掛先がでんさいファクタリングを知っており、正しく理解しているならば、あまり問題にはならないでしょう。
しかし、ファクタリング業界に違法業者が紛れ込んでいることから、「でんさいファクタリングは違法」といった誤ったイメージを抱く人もいます。
また、でんさいファクタリングで調達したことについて、「銀行から融資を受けられないのでは?」「経営が悪化しているのでは?」などと疑う経営者がいることも事実です。

ファクタリングと信用リスク

 
ファクタリングも、使い方によっては信用リスクがあります。
しかし、簡単に回避できるため、でんさいファクタリングのように深刻ではありません。
2社間方式で売掛金を譲渡することを、「2社間ファクタリング」といいます。
2社間ファクタリングは売掛先が関与しないため、信用リスクはありません。
ただし、2社間ファクタリングを利用すると、債権譲渡登記を求められるケースも多いです。
その場合、登記情報からファクタリングの利用がバレることがあります。
とはいえ、売掛先がわざわざ登記情報を照会することは考えにくく、信用リスクは極めて低いといえるでしょう。
同じ2社間でも、オンライン方式を利用すれば信用リスクはほぼゼロになります。
2社間ファクタリングをオンラインで完結できる「オンラインファクタリング」は、基本的に債権譲渡登記は不要です。
したがって、登記情報からバレることもありません。
ファクタリングで信用リスクがあるのは、3社間ファクタリングだけです。

結論:信用リスクを避けるにはファクタリングを

 
以上の内容をまとめると、でんさいファクタリングには信用リスクが付きまとうのに対し、ファクタリングは信用リスクを回避できます。
したがって、信用リスクを避けたい場合には、でんさいファクタリングではなくファクタリングを利用すべきです。
今後、でんさいの普及率が高まっていけば、でんさいファクタリングの利用も広がり、信用リスクはなくなるでしょう。
しかし、現時点では、でんさいファクタリングの信用リスクに注意が必要です。
でんさいの普及がなかなか進まない一方で、ファクタリングは加速度的に普及しています。
おそらく、でんさいファクタリングが一般的になるよりも、ファクタリングが一般的になる方が早いでしょう。
ファクタリングが一般的になり、正しい知識が浸透していけば、3社間ファクタリングの信用リスクも小さくなっていくはずです。
将来的な予測においても、ファクタリングの方が信用リスクは小さいといえます。

調達コストを比較

 
資金調達には調達コストがかかります。
調達コストは資金繰りを圧迫するため、低コストで調達できるに越したことはありません。
そこで、でんさいファクタリングの調達コストと、ファクタリングの調達コストを比較してみましょう。

でんさいファクタリングの調達コスト

 
ファクタリングの法整備が不十分な現在、手数料率の上限規制もありません。
でんさいファクタリングの手数料にも、法的な上限があるわけではなく、ファクタリング会社の裁量で決めることができます。
とはいえ、でんさいファクタリングの調達コストは基本的に安いです。
特に、銀行系のでんさいファクタリングは手数料が安くなります。
以下のように、銀行系のでんさいファクタリングでは、短期プライムレートが適用される場合が多いようです。

ファクタリングをご利用の場合、支払企業の信用力をいかした資金調達ができます。(短期プライムレート等、一律のレートでの調達ができます。)

出典:出典:三井住友銀行「でんさいファクタリング支払サービス」
短期プライムレートは変動するものですが、1995年9月14日以降、1%台が続いています。
2009年1月から現時点(2024年8月時点)までの短期プライムレートをみると、最頻値は1.475%となっています。
手数料率の目安を1.5%程度とすれば、でんさいファクタリングの調達コストは銀行融資なみ、あるいはそれ以下の水準です。
したがって、でんさいファクタリングの調達コストは安いといえます。

ファクタリングの調達コスト

 
でんさいファクタリングに比べて、ファクタリングの調達コストは高めです。
ファクタリング方式別の手数料率の相場は以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:額面金額の10~30%
  • 3社間ファクタリング:額面金額の1~10%
  • オンラインファクタリング:額面金額の10%以下

でんさいファクタリングの手数料率が1.5%程度であることを考えると、ファクタリングの手数料率は高いといえます。
もっとも、この相場は根拠が不明であり、かなり古い情報でもあるため、あまり参考にはなりません。
最近は、相場よりも安く利用できることが多くなっています。
この傾向は、優良ファクタリング会社ほど顕著です。
例えば、No.1のファクタリングサービスでは、以下の手数料率を目安としています。

  • 2社間ファクタリング:額面金額の5~15%
  • 3社間ファクタリング:額面金額の1~5%
  • オンラインファクタリング:額面金額の2~8%

さらに、ファクタリングする売掛金の種類によっても、手数料率は大幅に変動します。
信用の高い売掛金ほど手数料率が安く、診療報酬債権や介護報酬債権であれば1%以下の手数料率でファクタリングできることも多いです。
したがって、
「ファクタリングの手数料は割高である。しかし手数料率は変動の幅が大きく、手数料が極端に安くなる場合もある」
といえます。

結論:基本的にはでんさいファクタリングの方が安い

 
でんさいファクタリングの手数料は、基本的に安いです。
一方、ファクタリングの手数料は、安くなる場合もあれば高くなる場合もあります。
一概にどちらが安いとはいえませんが、平均的な調達コストを比較すれば、でんさいファクタリングのほうが安いといえます。
調達コストを抑えたい場合には、でんさいファクタリングを選ぶのがよいでしょう。
とはいえ、診療報酬ファクタリングや介護報酬ファクタリングなどでは、手数料率がでんさいファクタリングを下回ることもあります。
したがって、債権の内容に合わせて使い分けるのが賢明です。

緊急時の利用を比較

 
資金調達スピードに優れていることは、ファクタリングの代表的なメリットです。
でんさいファクタリングについても、調達スピードを気にする人は多いことと思います。
特に、「緊急時に利用できるかどうか」が重要です。
でんさいファクタリングとファクタリングの資金調達スピード、緊急時の利用を比較してみます。

でんさいファクタリングは緊急時に弱い

 
まず、でんさいファクタリングの資金調達スピードをみていきましょう。
でんさいは、電子記録を通じて支払や譲渡を行います。
紙の手形のように物理的な実体がないため、スピーディに資金化できるのが特徴です。
でんさい割引は即日中の割引に対応しています。
でんさいファクタリングも、でんさい割引と同じく債権譲渡であり、でんさいネットを利用する点も同じです。
したがって、でんさいファクタリングも資金調達スピードに優れています。
注意したいのは、即日対応の可否が不明なことです。
でんさい割引の場合、即日中に割引できることが明らかになっていますが、でんさいファクタリングは「即日対応」などと明言しているサービスが見当たりません。
スピーディには違いないとしても、依頼するファクタリング会社によってスピードに差が生じる可能性があります。
また、でんさいファクタリングを初めて利用する場合、緊急時の調達には不向きです。
でんさいファクタリングの導入にあたっては事前の審査があり、すぐには調達できないのです。
例えば、三井住友銀行のでんさいファクタリングは、利用開始時の留意点を以下のように述べています。

なお、本サービスのご導入にあたっては事前の審査がございます。
審査の結果により、ご希望に添えない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

出典:出典:三井住友銀行「でんさいファクタリング支払サービス」
緊急性が高い場合には、でんさいファクタリングは避けた方が無難でしょう。

ファクタリングは緊急時に強い

 
ファクタリングは緊急時の資金調達に最適です。
方式別の資金調達スピードは、以下を目安にしてください。

  • 2社間ファクタリング:最短即日
  • 3社間ファクタリング: 最短1週間程度
  • オンラインファクタリング:最短数時間

2社間ファクタリングの多くは、即日でのファクタリングに対応しています。
ただし、「“最短”即日」であって、「100%即日」というわけではありません。
ファクタリング会社によって対応スピードには差があり、中には「最短2営業日」「初回利用は最短〇営業日」などと設定するケースもみられます。
とはいえ、2社間ファクタリングがスピーディであることは事実です。
初回利用時も、でんさいファクタリングのような制約はありません。
継続利用に比べてやや時間がかかるものの、即日中に調達できることが多いです。

結論:緊急時の調達にはファクタリングを

 
でんさいファクタリングは、緊急時の調達に不向きです。
これに対し、ファクタリングは緊急時の調達に適しています。
特に緊急性が高い場合、オンラインファクタリングならば最短数時間で調達可能です。
実際に、No.1のオンラインファクタリングサービスでは、最短60分入金の実績が多数ございます。

  • でんさいファクタリングは「うまくいけば即日中」
  • 2社間ファクタリングは「即日対応が基本」
  • オンラインファクタリングは「数時間中の調達に対応」

以上のように比較すると、ファクタリングのほうが資金調達スピードに優れていることは間違いありません。
したがって、緊急時はファクタリングの利用をおすすめします。

個人事業主の利用を比較

 
個人事業主も、資金繰りを回すためには資金を調達しなければなりません。
個人事業主の資金調達は選択肢が限られるため、でんさいファクタリングやファクタリングに興味を持つ個人事業主も増えています。
そこで、個人事業主の利用を比較してみましょう。

でんさいファクタリングは個人事業主に不向き

 
でんさいは、個人事業主でも利用できます。
取引先から受け取ったでんさいを、でんさい割引やでんさいファクタリングによって早期資金化することも可能です。
とはいえ、でんさいファクタリングは個人事業主には不向きです。
個人事業主がでんさいファクタリングを利用する場合、取引先がでんさいネットに加入しており、でんさいを発行することが大前提となります。
既に述べた通り、でんさいの普及率は伸び悩んでおり、規模が小さい会社ほどでんさいの導入に消極的です。
これについて、少し具体的に見てみましょう。
日本の企業を資本金階級別にみると、資本金1000万円未満が104万企業、1000~3000万円未満が55万企業、3000万円~1億円未満が12万企業、1億円以上が3万企業となっています(2021年データ)。
さらに、2022年のでんさいの発生記録請求件数を資本金別にみると、資本金2000万円未満(中小企業および個人事業主)が83万件、2000万円~1億円未満(中小企業)が260万件、1~10億円未満(中堅企業)が136万件、10億円以上(大企業)が86万件です。
以上のデータから、以下のことが分かります。

  • 資本金が小さい中小企業や個人事業主(①)は、全企業に占める割合が最も大きい。しかし、でんさいの記録件数は最も低い。でんさいの普及率は極めて低く、でんさいファクタリングの利用は困難である。
  • 資本金がそれなりに大きい中小企業や中堅企業(②)は、全企業に占める割合がそれなりに大きく、でんさいの記録件数もそれなりに多い。でんさいの普及率は①よりも高く、でんさいファクタリングも比較的利用しやすい。
  • 資本金が大きい大企業(③)は、全企業に占める割合が最も小さく、でんさいの記録件数は①を上回っている。でんさいの普及率は高く、②と比べてもでんさいファクタリングの活用は容易である。

このように考えると、取引先の規模が小さいほどでんさいファクタリングが利用しにくく、取引先の規模が大きいほどでんさいファクタリングが利用しやすいことは明らかです。
大企業と取引している個人事業主ならば、でんさいファクタリングを利用できる可能性があります。
しかし実際には、個人事業主は規模が小さい会社と取引することが多く、個人事業主同士で取引先することも珍しくありません。
つまり、個人事業主の取引先はでんさいの普及率が低く、でんさいファクタリングも利用しにくいのです。
仕組みとして利用できることと、実際に活用できることは別問題です。
でんさいファクタリングは個人事業主に不向きと考えましょう。

ファクタリングは個人事業主に対応

 
ファクタリングも、一昔前までは法人向けサービスがほとんどでした。
しかし近年、個人事業主によるファクタリング需要が伸びていることから、個人事業主向けファクタリングも徐々に増えています。
No.1のように、法人・個人事業主の両方に対応しているファクタリング会社もあれば、個人事業主に特化したファクタリング会社もあります。
個人事業主向けファクタリングは、個人事業主でも簡単にファクタリングできるのが特徴です。
例えば、スマホからオンラインで利用できる、1万円や10万円といった少額のファクタリングに対応している、簡易審査でスピーディに調達できる、手数料が分かりやすい(売掛金に関係なく一律設定のサービスも)といった特徴があります。
したがって、ファクタリングは個人事業主の資金調達に役立ちます。

結論:個人事業主の資金調達はファクタリングで

 
個人事業主がでんさいファクタリングを利用するのは、現実的ではありません。
取引先がでんさいを導入している場合でさえ、決して便利とはいえません。
個人事業主向けファクタリングは、個人事業主の利便性を重視した仕組みです。
しかし、でんさいファクタリングにはそのような配慮がなく、単に「個人事業主もでんさいファクタリングできる」というだけです。
特に理由がない限り、個人事業主がでんさいファクタリングにこだわる必要はないでしょう。
それよりも、個人事業主向けファクタリングの利用をおすすめします。

まとめ:売掛債権(売掛金)のファクタリングはNo.1におまかせください

この記事では、でんさいファクタリングの仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説しました。
従来、でんさいの早期資金化といえばでんさい割引でしたが、でんさいファクタリングを提供する金融機関が少しずつ増えています。
一般的なファクタリングよりも手数料が安く、でんさいを償還請求権なしで資金化できるのが特徴です。
しかしながら、デメリットでもお伝えした通り、でんさいファクタリングの活用は容易ではありません。
資金繰りの維持を考えると、でんさいファクタリングは少々頼りないといえます。
資金調達・資金繰りにお悩みの方には、でんさいファクタリングよりも通常のファクタリングをおすすめします。

総合フリーダイヤル0120-700-339

名古屋支店直通052-414-4107

福岡支社092-419-2433

受付時間 平日 9:00 ~ 20:00( 土日祝休 )

   

お知らせ

   

お知らせ 一覧へ

DX認定

株式会社No.1は「DXマーク認証付与事業者」として認められました。

to top