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【図解】債権譲渡とは? 仕組みやメリット・デメリットを分かりやすく解説

債権譲渡は、保有する債権を第三者へ譲り渡し、素早く現金を確保する方法の一つです。さまざまなメリットがあり、資金繰りの改善につながるケースもありますが、一方でデメリットもあるため、事前に仕組みや注意点について理解を深めておきましょう。

本記事では、債権譲渡について詳しく知りたい方へ向けて、メリット・デメリットや実際に債権を譲渡するときの流れなどを紹介します。債権譲渡をうまく進めるためにも、ぜひ最後までご覧ください。

【この記事で分かること】

  • 債権譲渡には、債権を素早く現金化できる、債権の未回収リスクを回避できるなどのメリットがある
  • 債権譲渡では一定額が割り引かれるため、本来の債権金額ほどの資金は得られない
  • 債権譲渡は、債権譲渡契約の締結、債権譲渡の実行、対抗要件の具備という流れで進める

【本文】

債権譲渡とは? 仕組みを分かりやすく解説

債権譲渡とは、他人や他の企業など、第三者に対して債権を譲り渡す行為を指します。債権とは、相手に対して金銭の支払いなどの特定の行為を求める権利です。また、債権を持っている人(金銭の支払いを受ける人)を債権者、逆に債務がある人(金銭を支払う義務のある人)を債務者といいます。

債権譲渡においては、債権者(譲渡人:ゆずりわたしにん)が持っている債権を、第三者(譲受人:ゆずりうけにん)に譲り渡します。この行為によって第三者が債権を持つ状態になるため、債務者は元々の債権者ではなく、新しい債権者である第三者に対して、金銭を支払わなければなりません。

債権譲渡の具体例


以下のようなケースを考えてみましょう。

  • 企業A(債権者・譲渡人)
  • 企業B(債務者)
  • 企業C(譲受人)

企業Aは、企業Bに200万円を貸しています。つまり、企業Aは企業Bに対して、200万円を支払ってもらう債権を持っている状態です。ここで企業Aが企業Cへ債権を譲り渡すと、企業Bは企業Cに対して200万円を支払う必要があります。

企業Aが債権譲渡を行うと、本来の支払い期日を待たずして、すぐに資金を確保できます。「一時的に資金繰りが苦しいが、債務者からの支払いに時間がかかる……」「すぐに現金を確保して、設備投資や資材の購入を進めたい」といった場合は、債権譲渡を検討しましょう。

債権譲渡のメリット


債権譲渡には、譲渡人・譲受人のそれぞれに次のようなメリットがあります。

【譲渡人のメリット】

  • 債権を素早く現金化できる
  • 債権の未回収リスクを回避できる
  • 資金調達の方法が多様化する

【譲受人のメリット】

  • 本来の債権金額と譲渡価格の差額が利益となる

双方のメリットについて詳しく見ていきましょう。

譲渡人のメリット(1)債権を素早く現金化できる

保有する債権を素早く現金化できることは、債権譲渡の大きなメリットです。債権を保有している場合、いずれは債務者から回収できるとしても、資金を確保するまでに時間がかかり、待っている間に自社の資金繰りが悪化する可能性もあります。債務者の経営状況が悪く、支払いの催促をしても、なかなか入金してもらえないケースもあるかもしれません。

企業によっては自由に使える資金が少なくなり、資材の発注や従業員への給与支払いが滞るケースもあるでしょう。その結果、事業がスムーズに進まなくなったり、最悪の場合、黒字倒産につながったりするため、状況によっては債権譲渡を行い、手元の資金を確保することも重要です。

譲渡人のメリット(2)債権の未回収リスクを回避できる

債権の未回収リスクを回避できることも、債権譲渡のメリットの一つです。いずれ回収しようと思って債権を持っていると、債務者の倒産などにより、回収不可能になる可能性もあります。

一方で、債権譲渡によって債権を第三者に渡せば、一定額は割り引かれるものの、すぐに資金を確保できます。また、債権回収に関する業務や入金を待つ間のストレスからも解放されるでしょう。

債権を回収できなくなることは、自社にとって大きな損害です。資金繰りを安定させ、事業を継続していくためにも、必要に応じて債権譲渡を検討しましょう。

譲渡人のメリット(3)資金調達の方法が多様化する

債権譲渡を検討すれば、資金調達の方法が増えます。例えば、債権を担保にして借入をしたり、融資条件を改善したりできます。

無担保で資金調達をするより多くの資金を得られるケースもあるため、保有する債権をうまく活用しましょう。

譲受人のメリット(1)本来の債権金額と譲渡価格の差額が利益となる

債権譲渡は、譲渡人だけではなく、譲受人にとってもメリットのある取引です。債権譲渡においては、一般的に本来の債権金額から一定額が割り引かれます。つまり、譲受人は、本来の債権金額よりも安い譲渡価格で取引が可能です。

例えば債権金額が100万円だった場合でも、割引が適用され、100万円より安い譲渡価格で債権を譲り受けられます。その後、債務者から100万円を回収できれば、譲渡価格との差額を利益として確保できます。

債権譲渡のデメリット

さまざまなメリットがある一方で、次のようなデメリットも存在します。

【譲渡人のデメリット】

  • 本来の債権金額ほどの資金は得られない
  • 担保が実行されると信頼を失う可能性がある

【譲受人のデメリット】

  • 一時的に資金が減る
  • 債務者の支払い能力や経営状況が分からない

以下、それぞれのデメリットについて順番に解説します。

譲渡人のデメリット(1)本来の債権金額ほどの資金は得られない

先ほど解説したように、債権譲渡においては一定額が割り引かれるため、譲渡人は本来の債権金額ほどの資金を得られません。例えば、本来は100万円の債権金額だったとしても、それよりも安い譲渡価格のみを受け取ることになります。

すぐに資金を確保できるというメリットはありますが、何度も行うと、結果的に経営状況や資金繰りが悪化する可能性もあります。もちろん一時的な資金繰りの改善を図るのも重要ですが、長期的な視点で考えた上で、債権譲渡を行うかどうか決定しましょう。

譲渡人のデメリット(2)担保が実行されると信頼を失う可能性がある

譲受人に対して担保として債権譲渡している場合は、返済が滞り、実際に担保が実行されると、譲受人からの信頼を失う可能性もあります。前述の通り、債権を担保にした借入はできますが、返済計画などをしっかりと考えておく必要があります。

譲受人のデメリット(1)一時的に資金が減る

一時的に資金が減ることは、譲受人のデメリットの一つです。最終的に債権を回収して利益が出るとしても、それまでの期間は自由に使える資金が減ります。資金に余裕がある場合は問題ありませんが、資金繰りの悪化によって事業が滞らないよう注意しましょう。

譲受人のデメリット(2)債務者の支払い能力や経営状況が分からない

債権譲渡においては、直接の取引実績がない債務者に対する債権を譲り受けるケースもあります。そのため、債務者の支払い能力や経営状況がよく分からず、回収不可能となるリスクを負う場合もあります。

仮に高額な債権だったとしても、回収できなければ意味がありません。リスクをしっかりと理解した上で、債権譲渡を進めましょう。

債権譲渡における2種類の対抗要件

債権譲渡を行うためには、民法や特例法で定められた方法により、対抗要件を具備する必要があります。対抗要件とは、当事者間で効力のある法律関係が、第三者に対して効力を有するための要件のことです。

債権譲渡における対抗要件には、次の2つがあります。

  • 債務者対抗要件
  • 第三者対抗要件

それぞれの対抗要件について、簡単に確認しておきましょう。

1. 債務者対抗要件

債務者に対する対抗要件を「債務者対抗要件」といいます。債務者対抗要件を具備すると、債権の譲受人は、債務者に対して債務の履行を請求可能です。債務者対抗要件を具備するためには、民法の第467条に従い、次のいずれかを行う必要があります(※)。

  • 譲渡人が債務者に通知をする
  • 債務者が承諾する

上記のような方法によって債務者対抗要件を具備しなければ、譲受人は債務者に対して債務の履行を請求できません。債権譲渡により譲受人が正当な債権者となった事実を主張するためにも、債務者対抗要件を満たすようにしましょう。

ただし、債務者対抗要件を具備していない場合でも、債務者の意思で債務を履行することはできます。

※参考:e-Gov法令検索.「民法」.(2025-06-06).

2. 第三者対抗要件

債権の優劣を明確にするための対抗要件を「第三者対抗要件」といいます。第三者対抗要件を具備すると、債権の譲受人は、債務者以外の第三者に対して自分が正当な債権者であると主張可能です。

例えば譲渡人が複数の人に債権を譲渡すると、債権の優劣が分からなくなります。ここで、第三者対抗要件を先に具備していれば、他の譲受人よりも優先されます。確実に正当な債権者となるためにも、債権譲渡が成立したら、すぐに第三者対抗要件を備えましょう。

第三者対抗要件を具備するためには、民法の第467条、特例法(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律)の第4条に従い、次のいずれかを行う必要があります(※)。

  • 譲渡人が債務者に通知をする(確定日付のある証書による必要がある)
  • 債務者が承諾する(確定日付のある証書による必要がある)
  • 債権譲渡登記を行う

※参考:e-Gov法令検索.「民法」.(2025-06-06).

※参考:e-Gov法令検索.「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」.(2025-06-06).

債権譲渡を行う際の基本的な流れを3ステップで解説

債権譲渡を行う際の一般的な流れは、以下の通りです。

  • 譲渡人と譲受人の間で債権譲渡契約を締結する
  • 債権譲渡を実行する
  • 対抗要件を具備する

各ステップのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

1. 譲渡人と譲受人の間で債権譲渡契約を締結する

債権譲渡を行うときは、譲渡人と譲受人の間で債権譲渡契約を締結する必要があります。債権譲渡契約の際は、口約束ではなく契約書を作成するのが一般的です。契約書には次のような内容を記載しましょう。

  • 譲渡する債権の情報(債権者・債務者・債権金額・弁済日・発生原因など)
  • 譲渡の対価(譲渡価格・支払方法・振込手数料の負担者など)
  • 譲渡実行日
  • 譲渡する債権に関する表明保証

債権譲渡契約書を作成するときは、債権の内容を明確にする必要があります。債権者や債務者といった基本情報はもちろん、発生原因なども把握し、契約書に明記しておきましょう。

また債権金額と譲渡価格は一致する必要はありません。譲渡価格は、譲渡人と譲受人の協議によって決定でき、債権金額より安く設定するのが一般的です。

2. 債権譲渡を実行する

債権譲渡契約を締結したら、契約書で定めた譲渡実行日に債権譲渡を行います。譲渡人は譲受人に対して、債権に関する書類などを引き渡します。逆に、譲受人は譲渡人に対して、契約書で定めた譲渡価格を支払いましょう。

3. 対抗要件を具備する

債権譲渡を実行したら、債務者や第三者に対する対抗要件を具備する必要があります。債権を譲り渡した段階では、譲渡人と譲受人の間でのみ有効な取引となっているからです。

前述の通り、譲受人が債務者に対して債務の履行を請求するには、債務者対抗要件を具備する必要があります。また債権の優劣を明確にし、自分が正当な債権者であると主張するためにも、第三者対抗要件を具備することが重要です。

一般的には債権譲渡を実行した直後に、譲渡人から債務者へ、確定日付のある証書による通知を発行し、債務者対抗要件と第三者対抗要件の2つを具備します。ただし、債務者に債権譲渡について知られたくない場合などは、債務者に対する通知を行わずに、債権譲渡登記のみを行うケースもあります。

いずれにしても、先ほど紹介した民法や特例法に記載されたルールに従って、対抗要件の具備を進めましょう。

債権譲渡にかかる期間は債権の内容などによって異なる

債権譲渡にかかる期間は、譲渡する債権の内容や関係者の人数、必要となる法的手続きの種類などによって異なります。また、譲渡人と譲受人の間における協議、契約書の作成、対抗要件の具備など、難しい手続きも必要です。

債権譲渡を検討している場合は、ある程度の時間がかかることを想定し、早めに準備を進めましょう。

売掛金の現金化ならファクタリングもおすすめ

売掛金(売掛債権)を現金化したい場合は、ファクタリングもおすすめです。売掛金とは、商品やサービスを提供したものの、未回収となっている代金を意味します。また、売掛債権とは、未回収の代金を受け取る権利です。

ファクタリングを利用すれば、売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい、その代わりに現金を受け取れます。売掛金の支払い期日より早く現金を受け取れるため、資金繰りの改善に役立ちます。

銀行の融資などと比較して手続きが簡単で、審査に通りやすいこともファクタリングの特徴です。サービスによって異なるものの、審査や入金までにかかる時間も短い傾向にあるため、すぐに現金が必要な場合は利用を検討しましょう。

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債権譲渡を行うときの注意点

債権を譲渡するときは、譲受人に対する正確な情報提供や譲渡制限特約の有無などに注意しましょう。逆に債権の譲渡を受けるときは、二重譲渡ではないか、弁済済みではないか、といった点を確認しておく必要があります。

以下で、債権譲渡を進めるときの注意点について解説します。

1. 譲受人に対して正確な情報を伝える

債権譲渡を行うときは、譲受人に対して正確な情報を伝える必要があります。例えば、債務者や弁済日、債権金額はもちろん、債務者の経営状況や信用力などについても情報を提供することが重要です。

譲受人が債務者について詳しく知らないケースもあり、譲渡人から情報提供しなければ、債権を譲り受けるべきか判断できません。そのため、譲渡人が持っている情報は、できる限り提供しましょう。

また、債務者の経営状況が悪いと知っているのにもかかわらず、その情報を隠して債権譲渡を進めると、民法第562条に基づき、契約不適合責任を問われる可能性があります(※1)。さらに、刑法246条の詐欺罪に該当する可能性もあるため、正確な情報提供に努めましょう(※2)。

※1参考:e-Gov法令検索.「民法」.(2025-10-01).

※2参考:e-Gov法令検索.「刑法」.(2025-10-01).

2. 譲渡制限特約の効力に注意する

譲渡制限特約とは、債権者と債務者の合意によって、第三者への債権の譲渡を禁止したり制限したりする取り決めです。債権には、意図しない第三者の介入を防ぐ目的で、譲渡制限特約が設けられているケースもあります。債権譲渡を行う前に、特約の有無を確認しておきましょう。

ただし、2020年の民法改正により、譲渡制限特約があっても債権譲渡は原則として有効と見なされるようになりました(※)。この改正は、債権の流動性を高め、資金調達を円滑にする目的で実施されています。資金の確保で悩んでいる場合は、一定のルールを守りながら、債権譲渡を進めましょう。

※参考:e-Gov法令検索.「民法」.(2025-10-01).

3. 債権の二重譲渡を確認する

譲受人もさまざまな点を確認しておく必要があります。債権の二重譲渡もチェックすべきポイントの一つです。二重譲渡とは、譲渡人が複数の人と債権譲渡契約を結ぶことです。

二重譲渡に該当する場合、先に第三者対抗要件を具備した方が優先されます。前述の通り、第三者対抗要件を具備するためには、債務者に通知をする、債権譲渡登記を行うなどの手続きが必要であるため、早めに行動しましょう。

4. 弁済済みかどうかを確認する

譲渡してもらう債権について、弁済済みかどうかもチェックしましょう。仮に弁済済みの債権であった場合、譲渡を受けたとしても、債務者から債権を回収できません。

せっかくの準備や取引が無駄になるため、事前にしっかりとリサーチすることが重要です。また実際に債権を回収できそうか判断するため、債務者の経営状況についても確認しておきましょう。

5. 時効が過ぎていないかを確認する

譲渡してもらう債権について、時効が過ぎていないかチェックしておくことも必要です。債権の時効を過ぎると、せっかく譲渡を受けても、債務者からの回収はできません。

債権は、一定期間行使していなければ消滅します。長期間放置されていた債権の場合は、時効が過ぎている可能性もあるため、事前に確認しておきましょう。

まとめ:債権譲渡をうまく活用して資金繰りを改善しよう!

今回は、債権譲渡の仕組みやメリット・デメリット、実際に債権を譲渡するときの流れや注意点を解説しました。債権譲渡を行うと、債権を素早く現金化でき、未回収リスクを回避できます。一時的な資金繰りの改善にも役立つため、状況に応じて利用しましょう。

ただし、債権譲渡では一定額が割り引かれるため、本来の債権金額ほどの資金は得られません。結果的に経営状況が悪化する可能性もあるため、計画的に実施しましょう。

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