カテゴリー: 資金調達情報

運転資金とは?運転資金の計算方法と運転資金が不足した場合の資金調達方法

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運転資金は、会社が運転し続けるために必要な資金であり、運転資金が不足すると資金繰りはショートします。これを避けるためにも、運転資金を正しく理解し、資金調達に取り組むことが大切です。
 本稿では、運転資金の計算方法や調達方法、ファクタリングの活用などを解説します。

運転資金とは?

営業活動には、どの会社でも大体共通する営業循環があります。この営業循環を簡単に示すと、

  • 1、商品を仕入れる。買掛金が発生する。
  • 2、仕入れた商品は在庫となる。
  • 3、在庫を販売し、売上が発生する。
  • 4、買掛金を支払う。
  • 5、売掛金を回収する。
  • 6、回収した売掛金で商品を仕入れる。買掛金が発生する。
  • 7、仕入れた商品は在庫となる。

という流れです。買掛金の支払いや売掛金の回収が前後することはあるでしょうが、おおむねこのような循環を無限に繰り返すのが営業活動というものです。

運転資金=常時必要な資金

 営業循環を考えると、あることに気が付きます。それは、売上の入金以前に支払いが必要になるということです。
 営業活動のためには、販売するための商品を仕入れることが欠かせません。もちろん、製造業ならば原材料なども仕入れる必要があるでしょう。これらの在庫は、いずれ現金化される資産ですが、現金化されるには時間がかかります。
 その結果、売掛金の回収よりも買掛金の支払いが先行します。お金が入ってくるよりも、お金が出ていくタイミングの方が早いのですから、入金までの資金が必要です。
 つまり、営業活動のためには、まとまった立替資金が常時必要となります。これを運転資金といいます。

運転資金の計算方法

 運転資金は常時必要な資金であり、これが足りなくなると営業活動がうまくいかなくなります。営業活動の縮小によって必要運転資金を減らすなどの措置を取らなければなりません。
 しかし、それはやむを得ない場合の対処です。営業活動を縮小すれば売上や利益は減少します。設備の維持費や人件費の負担に耐えられず、解雇など想定外の事業縮小に迫られる可能性もあります。運転資金の不足はジリ貧を招くのです。
 したがって、運転資金を正しく計算し、必要な資金をしっかりと調達することが重要です。

運転資金の計算方法

 運転資金の計算方法を、具体的な例でみていきましょう。
 例えば、次のような会社(以下、A社)があるとします。

  • 平均月商:1,000万円
  • 回収サイト:2ヶ月
  • 仕入原価:600万円
  • 支払サイト:1.5ヶ月

 A社の平均月商は1,000万円です。売掛金の回収に平均2ヶ月かかるため、A社が流動資産として常時保有している売掛金は2,000万円となります。
 また、A社の仕入原価は600万円です。売掛金の回収に2ヶ月かかるため、在庫も常時2ヶ月分を保有しておくのが普通です。これにより、次回の売掛金によって次回の在庫を確保できる流れを作ることができます。したがって、A社が流動資産に計上する在庫は1,200万円です。
 在庫を常時2ヶ月分保有しておくには、それに見合う仕入れが必要であり、仕入金の支払いは1.5ヶ月後です。このため、A社の流動負債には900万円が計上されていることになります。
 運転資金は、以下の計算式で算出します。

運転資金=売掛債権(売掛金、受取手形)+在庫-買掛債務(買掛金、支払手形)

 以上の数値をあてはめると、A社の運転資金は以下のようになります。

A社の運転資金=2,000万円+1,200万円-900万円=2,300万円

 A社が営業活動を続けるには、常に2,300万円の運転資金を確保しておかなければなりません。

運転資金の調達方法は?

 運転資金の調達方法には色々ありますが、基本的には金融機関からの融資によって調達することとなります。
 ただし、一口に金融機関といっても様々であり、業歴や業容によって利用すべき金融機関は異なります。
 条件別に、推奨される金融機関を見ていきましょう。

条件① 業歴が短く業容も小規模(創業後間もない会社)

 中小企業のうち業歴が短い会社、すなわち創業後間もない会社(創業後間もないため業容も小規模と仮定)では、取引先が少なく、営業循環そのものが小さいため、常時必要となる運転資金も小さいです。
 とはいえ、小さいながらも運転資金が発生している以上、融資によって確保しておく必要があります。
融資を受けられる金融機関が限られます。 残念ながら、民間金融機関からの借り入れはほとんど期待できません。民間金融機関は営利企業であり、貸し倒れリスクを極端に嫌うため、業歴が短く信用の乏しい会社には基本的に融資しないのです。
 したがって、このような会社では公的金融機関を利用することとなります。公的金融機関には、日本政策金融公庫があります。日本政策金融公庫は、政府が100%出資している金融機関であり、民間金融機関では対応できない資金需要をカバーすることを目的としています。
 創業後間もない会社は、まず日本政策金融公庫からの資金調達を検討しましょう。
 

条件② 業歴が長く業容が小規模

 業歴がそれなりに長く、業容が小さい会社はどうでしょうか。
 業歴が長ければ、複数の金融機関と取引している会社も多いことでしょう。その中で信用を築いているならば、民間金融機関からの借入れが可能です。
 業容が小さい会社の資金繰りはコンパクトであり、必要運転資金も少額です。小規模な会社の小規模な資金需要に最もよく応えてくれるのは、地元の信用金庫です。信金は地域への密着性が非常に高く、地域の顧客によって成り立っているため、小規模事業者を大切なお得意先と考えています。
 したがって、業歴が長く業容が小さい会社は、信金からの資金調達がおすすめです。

条件③ 業歴が長く業容が中規模

 年商1億円以上になると小規模事業者とはいえず、調達先も変わってきます。年商が2億円、3億円と大きくなるにつれて、地方銀行からの資金調達が重要になってきます。
 年商1億円以上であれば、運転資金も数千万円規模で発生します。これ調達する場合、ある程度までは信金でも対応できますが、資金需要が大きくなるほど、資金力のある地銀からの調達が欠かせません。
 したがって、年商10億円くらいまでであれば、地銀をメインバンクとし、他の地銀や信金をサブバンクとしながら、運転資金を調達していくことが大切です。

条件④ 業歴が長く業容が大規模

 中小企業の中でも業容が特に大きく、年商が10億円以上になってくると、メガバンクからの調達も考えられます。例えば、

  • 年商:12億円
  • 平均月商:1億円
  • 回収サイト:2ヶ月
  • 仕入原価:6,000万円
  • 支払サイト:1.5ヶ月

の会社では、常時2億3,000万円の運転資金が必要となるため、年商数億円の中小企業とは調達額が桁違いになってきます。また、ここからさらなる成長を目指す会社も多いでしょうから、将来的に資金需要が高まることを想定し、メガバンクとの付き合いを深めていくことも必要です。
 もちろん、年商10億円前後で安定推移を目指す場合には、引き続き地銀から調達することも考えられます。

運転資金を減らすには?

 以上のように、運転資金の調達額は業容によって大きく変わるため、それに合わせた金融機関の選定が重要です。運転資金を金融機関から調達することで、資金繰りは問題なく回っていきます。
 ただし、これが「資金繰りが良い状態か?」と考えると、そうとは言い切れません。運転資金が大きいほど、必要な調達額は大きくなり、調達できない可能性・調達できなかった場合のリスクも高まります。また、経営者は資金調達に奔走しなければならず、本業に力を入れることが難しくなるでしょう。
 逆に、運転資金が小さくなれば、調達額も小さくなります。これが、資金繰りの安定に非常に重要です。なぜならば、
「資金調達額が大きい⇒多額の調達ができる銀行融資に依存する」という状況から、
「資金調達額が小さい⇒銀行融資以外の方法によって、少額の資金調達でもカバーできる」
という状況にシフトできるからです。もちろん、資金調達に傾ける労力も少なく、本業にも集中できるでしょう。 

具体的な方法

運転資金を減らす考え方は簡単です。上記の通り、運転資金は、

運転資金=売掛債権+在庫-買掛債務

として計算します。この計算式から、運転資金を減らす方法が分かります。すなわち、

  • 売掛債権を減らす
  • 在庫を減らす
  • 買掛債務を増やす

という方法です。
 具体的に考えてみましょう。上記のA社では、運転資金を減らすために以下のように取り組みました。

  • 既存の売掛先に対し、売掛金の支払期間を短縮してもらうように交渉した。新規の売掛先には、支払期間ができるだけ短くなるように契約条件を設定した。その結果、平均回収サイトを1.5ヶ月に短縮した。
  • これにより、常時確保しておく在庫も1.5ヶ月分に減らすことができた。
  • 仕入先にも交渉し、買掛金の支払期間を延長してもらうように交渉した。応じてもらえない場合には仕入先を変更し、支払期間が長くしてくれる会社から仕入れるようにした。その結果、平均支払サイトを2ヶ月に延長できた。

 この結果、A社の運転資金は以下のように圧縮されました。

A社の運転資金=1,500万円+900万円-1,200万円=1,200万円

 従来の条件では2,300万円の運転資金が必要であったものが、1,200万円へと減っていることが分かります。これにより、資金繰りの負担が大幅に軽減されることは間違いありません。

ファクタリングでもカバーできる

運転資金を大幅に圧縮できれば、必要な調達額が小さくなるため、資金繰りショートのリスクも低くなります。これは、

  • 少額であるほど、銀行融資を引き出しやすくなる
  • 少額であるほど、銀行融資以外の資金調達方法で対応しやすくなる

という2つの理由によります。
 注目すべきは、銀行からの資金調達が絶対ではなくなることです。特に、資金繰り改善後のA社のように「売掛金>運転資金」の状態になっていれば、ファクタリングでも資金繰りが回るようになります。
 ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社に売却することにより、早期資金化する資金調達方法です。ファクタリングには手数料がかかりますが、早期資金化のメリットは非常に大きいです。
 まず、資金繰り改善後のA社のように「売掛金>運転資金」であれば、売掛金の売却によって運転資金を全てカバーすることも可能です。
 例えば、手数料率10%でファクタリングした場合、A社の保有する売掛金1,500万円により、1,350万円の資金を調達できます。これだけあれば、必要運転資金1,200万円を十分にカバーできます。
 つまり、運転資金の圧縮に努めることによって、運転資金の調達を銀行融資に頼ることなく、ファクタリングでも資金繰りが回るようになるのです。
 このほか、

  • 銀行から融資を受けられなくなった場合にも、資金繰りがショートする危険がなくなる
  • 借り入れ条件が悪い場合にはファクタリングで対応し、良い条件に限って融資を受ける。これにより、低金利での借り入れ、信用保証協会の保証枠の温存などが可能となる

といったメリットも期待でき、資金調達環境が良くなります。資金繰り改善にも大きな効果が期待できるでしょう。

まとめ

 本稿では、運転資金の計算方法と資金調達方法について解説しました。
 運転資金は、経営を継続するために必ず必要な資金であり、不足分は計画的に調達しておくことが大切です。銀行融資によって調達するならば、自社にふさわしい金融機関選びも重要となります。
 また、必要運転資金の圧縮に取り組めば、銀行融資以外の資金調達方法でも運転資金を確保できるようになります。その場合、特に役立つのがファクタリングです。
運転資金とは入金と支払いのギャップによるものであり、運転資金には必ず売掛金の裏付けがあるものです。これによって運転資金を調達する際には、No.1へご相談ください。
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