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カテゴリー: ファクタリング

キャッシュフロー改善の方法とは?キャッシュフローの基礎知識から具体的な改善方法まで徹底解説!

企業を経営する上での実際のお金の流れを「キャッシュフロー」といいます。
キャッシュフローをないがしろにすれば、資金繰りもずさんになり、資金ショートや倒産の危険性も高まります。
経営の健全性を高めるには、自社のキャッシュフローの良し悪しを知り、キャッシュフロー改善に取り組むことが重要です。
そこで、キャッシュフローに関する基本的な知識と、具体的な改善方法を知る必要があります。
この記事では、キャッシュフローの基礎知識から、キャッシュフロー改善の具体策まで詳しく解説します。

キャッシュフロー改善の基礎知識

 
キャッシュフロー改善に取り組むには、キャッシュフローの意味、資金繰りとの違いを知る必要があります。
また、自社がキャッシュフロー改善すべきかどうか、キャッシュフロー改善はなぜ必要か、キャッシュフロー計算書とは何か…といった知識も重要です。
キャッシュフロー改善に取り組むためにも、まずはこれらの基礎知識からみていきましょう。

キャッシュフローとは?

 
簡単にいえば、キャッシュフローは「お金の流れ」です。
キャッシュはお金、フローは流れを意味します。
キャッシュフローを構成する要素は以下の3つです。

  • キャッシュインフロー…お金が入ってくる流れ。売掛金の回収、銀行からの借入れ、資産の売却など
  • キャッシュアウトフロー…お金が出ていく流れ。買掛金の支払い、銀行への返済、給与の支払い、設備の購入など
  • キャッシュストック…キャッシュインフローとキャッシュアウトフローを繰り返した結果、期首・期末などの一定時点での貯え。いわゆる「キャッシュ」

キャッシュフロー改善には、これらの3要素の分析が欠かせません。
期首のキャッシュが、期中のキャッシュインフローで増えたり、キャッシュアウトフローで減ったりした結果、期末のキャッシュはどうなったのか、増えたのか、減ったのか、といったことが分かります。
もちろん、キャッシュの流れが詳しく分かれば、期末のキャッシュがなぜ増えたのか、あるいは減ったのかもみえてきます。
キャッシュフローが悪化している会社は、この分析によって原因を特定し、キャッシュフロー改善の糸口をつかむこともできるのです。

資金繰りとキャッシュフローの違い

経営者の中には、資金繰りとキャッシュフローを混同している人が少なくありません。
確かに似ているのですが、キャッシュフローと資金繰りは異なる概念です。
当然ながら、キャッシュフロー改善と資金繰り改善も異なります。
資金繰りとキャッシュフローの違いは「方向性」にあります。

資金繰りは前向きの見積もり

 
資金繰りは前向きの見積もりです。
よく「計画的な資金繰りを」「資金繰り計画を立てよう」などと言いますが、資金繰りはお金をやり繰りであり、将来的なお金の流れの予測を意味します。
1年間の資金繰り計画を立てる場合、過去の資金繰りの記録を参考に、今後1年間のお金の流れに大体の見通しをつけます。
毎月の収支の流れを予測し、資金が不足するタイミングを把握しておけば、早い段階から資金調達に取り組むことも可能です。
計画的に資金繰りすれば、資金繰りがショートする危険が少なくなります。
資金繰り改善は、将来のお金の流れを円滑化するための活動にほかなりません。

キャッシュフローは後ろ向きの報告

 
一方、キャッシュフローは後ろ向きの報告であり、実際に起こったお金の流れの記録です。
資金繰り計画を立てていても、実際のお金の流れが計画通りになるとは限りません。
むしろ、計画がずれることのほうが多いです。
例えば、売上や利益が増えるとキャッシュインフローが大きくなります。
もちろん、売上増加に伴う運転資金の増加により、キャッシュアウトフローも増えます。
イレギュラーな事態により、予想外のキャッシュアウトフローが発生することもあるでしょう。
それにあわせて資金を調達すれば、計画にはなかったキャッシュインフローが発生します。
このような資金繰りの結果は、決算終了後にキャッシュフロー計算書としてまとめます。
つまり、キャッシュフローは過去の実績の報告にすぎません。

資金繰り改善とキャッシュフロー改善の関係

 
資金繰りは「事前的」な作業であるのに対し、キャッシュフローは「事後的」な作業といえます。
資金繰り計画を立て、計画をもとに資金繰りを行い、最後にキャッシュフローをまとめることにより、事前の予測(資金繰り)と実績(キャッシュフロー)の差異が明らかになります。
この差異を詳しく分析し、差額が発生した原因を特定すれば、予測の精度が高まり、ネガティブな差異の修正・処置も可能です。
それを「資金繰り改善」といいます。
キャッシュフローは資金繰りの結果ですから、前提となる資金繰りが改善されれば、結果としてのキャッシュフローもおのずと改善します。
このように、資金繰り改善とキャッシュフロー改善は表裏一体の関係です。
資金繰りを改善しなければキャッシュフロー改善はあり得ず、キャッシュフローを改善しなければ資金繰り改善はあり得ません。

キャッシュフロー改善が重要な時代に

 
近年、キャッシュフロー改善の必要性が高まっています。
というのも、企業を評価する際にキャッシュフローを重視する銀行が増えているからです。

発生主義とは?

 
従来、銀行の企業評価では発生主義を軸にするのが普通でした。
発生主義は、実際のお金のやり取りに関係なく、掛売りや掛買いなどの取引が発生した時点で収支を計算します。
つまり、「売上(将来的に入ってくるお金)はいくら、経費(将来的に出ていくお金)はいくら、利益(最終的に残るであろうお金)はいくら」という考え方です。
発生主義で評価する場合、最も重視されるのは利益です。
例えば、利益率20%・売上1000万円の場合には200万円の利益が残ります。
一方、利益率10%、売上1500万円の場合、残る利益は150万円です。
発生主義だけで評価する場合、利益の多い前者のほうが評価は高くなります。
当然、融資の審査でも利益を重視します。
単純に「利益が出ている→返済原資を確保できる→貸倒れリスクが低い」という考え方です。
しかし、この流れは徐々に変わりつつあります。

キャッシュフロー重視の評価へ

近年、発生主義ではなくキャッシュフローを重視する銀行が増えてきました。
キャッシュフローを重視する場合、「実際に入ってきたお金がいくら、実際に出ていったお金がいくら、最終的に残ったお金はいくら」という全体の流れが大きい会社ほど高く評価します。
キャッシュフローが大きい会社は、お金が入ってくる流れ・出ていく流れが旺盛であり、企業活動が活発といえます。
また、お金の回転が早い会社は儲ける機会も多いため、将来的な利益の増大も期待できます。
この好循環によって資金需要が旺盛になれば、銀行が融資その他で儲ける機会も増えるというわけです。

キャッシュフロー改善で銀行評価もアップ

 
したがって、今は利益が少なくても、キャッシュフローが大きい会社は、銀行評価が高くなりやすいです。
そのような会社は、将来的な成長と儲けが期待できるため、銀行は好条件(低金利・長期のプロパー融資など)で融資します。
逆に、利益はそれなりにあっても、キャッシュフローが小さい会社は、銀行評価が低くなりやすいです。
将来的な成長・儲けがあまり期待できないため、銀行によっては「積極的に支援する理由がない」と判断するかもしれません。
銀行業全体の融資姿勢が慎重になった場合や、支店の方針が利益重視からキャッシュフロー重視に変わった場合、融資を受けられなくなる可能性が高いです。
それを避けるためにも、キャッシュフロー改善に取り組む必要があります。
銀行融資というと、「銀行が会社に貸し付ける」または「会社が銀行から借り入れる」という一方通行の関係をイメージしがちですが、決してそうではありません。
銀行と会社は取引関係にあり、相互に儲けられる関係を目指すべきです。
キャッシュフロー改善は、銀行と良好な関係を築くうえでも大切なのです。

自社はキャッシュフロー改善をすべき?

 
キャッシュフロー改善は、どのような会社で必要になるのでしょうか?
これを判断するには、自社のキャッシュフローの良し悪しを知る必要があります。

キャッシュフロー改善が不要な会社

 
キャッシュアウトフローよりもキャッシュインフローのほうが大きい会社は、「キャッシュフローが良好」と考えることができます。
この場合、手元にキャッシュが確実に残るため、手元資金が枯渇しにくく、資金繰りショートの危険も小さいからです。
特に、本業の売上によってキャッシュインフローをしっかり確保できており、それに伴いキャッシュフロー全体が大きくなるのがベストです。
現時点でキャッシュフローが良好な会社は、強いてキャッシュフロー改善に取り組む必要はありません。
キャッシュフロー改善に力を入れるよりも、他の事業活動にコストを投入したほうが賢明です。
それにより、結果的にキャッシュフローがさらに良くなることを目指しましょう。

早急なキャッシュフロー改善が必要な会社

 
キャッシュインフローよりもキャッシュアウトフローが大きい会社は、早急にキャッシュフロー改善が必要です。
入ってくる流れよりも出ていく流れのほうが活発ですから、手元資金がどんどん流出していきます。
資金繰りショートを避けるには、銀行融資などによって不足資金を調達します。
資金を調達すればキャッシュインフローが増えますが、それだけでは根本的なキャッシュフロー改善とはいえません。
むしろ、返済利息などによって経常的なキャッシュアウトフローが増えるため、キャッシュフローはさらに悪化する可能性が高いです。
したがって、早急にキャッシュフロー改善に取り組む必要があります。

意識的にキャッシュフロー改善が必要な会社

 
また、以下のような会社もキャッシュフロー改善が必要です。

  • キャッシュインフローがキャッシュアウトフローを上回っているが、キャッシュフロー全体が小さい会社
  • イレギュラーな収入によって、一時的にキャッシュフローがプラスになっている会社

キャッシュインフローがキャッシュアウトフローを上回っていても、必ずしもキャッシュフローが良いとは限りません。
まず、キャッシュフローがわずかにプラスという場合には注意が必要です。
経済動向が不安定な昨今、キャッシュインフローの減少によりキャッシュフローがマイナスになることも十分にあり得ます。
そのような事態に備えるためにも、普段からキャッシュフロー改善に取り組むことが大切です。
この時、キャッシュフロー改善で重要なのは本業の売上を増やすこと、キャッシュフロー全体を大きくすることです。
キャッシュフローがプラスになっても、全体のキャッシュフローが小さければ銀行評価も振るわず、キャッシュフロー改善の成果は十分とはいえません。
さらに、本業以外のイレギュラーな収入、例えば不動産や有価証券の売却や、流行性の売上増加によってキャッシュインフローが増大すれば、キャッシュフローは大きくプラスになります。
だからといって、そのような状況は長く続かないのですから、「キャッシュフロー改善が不要」と考えるのは誤りです。
キャッシュフロー改善で目指すべきは、本業で十分なキャッシュインフローが確保でき、手元にキャッシュが残る状態です。
本業以外のイレギュラーな収入があった場合には、その資金を活用してキャッシュフロー改善を進めましょう。

キャッシュフロー改善の方針を立てるには?

 
キャッシュフロー改善の方針を立てるには、キャッシュフロー計算書の分析が欠かせません。

キャッシュフロー計算書とは?

 
キャッシュフロー計算書を知る上で重要なのは、ここまで述べてきた「キャッシュフロー」との概念の違いです。
一般的に、キャッシュフローといえば「お金の流れ」の概念ですが、キャッシュフロー計算書は、「余剰(または不足)」の概念です。

キャッシュフロー計算書の仕組み

 
キャッシュフロー計算書は、営業活動によるキャッシュフロー(以下、営業キャッシュフロー)、投資活動によるキャッシュフロー(以下、投資キャッシュフロー)、財務活動によるキャッシュフロー(財務キャッシュフロー)の3つに分けて考えます。
キャッシュフロー計算書の計算の流れは以下の通りです。

  • 1.自社の本業でどれだけのお金を得られたか、その経過を営業キャッシュフローで表す
  • 2.自社の本業以外の投資(不動産投資や有価証券投資など)、本業に伴う設備投資などによる資金の過不足を投資キャッシュフローで表す
  • 3.借入れや社債の発行、資金調達などによるキャッシュの増減を財務キャッシュフローで表す
  • 4.1~3をまとめたキャッシュの増減額を計算する
  • 5.期首のキャッシュ残高から4を差し引き、期末のキャッシュ残高を計算する

このように、キャッシュフロー計算書は全体のお金の流れではなく、営業活動・投資活動・財務活動のそれぞれの増減から、最終的なキャッシュの余剰(または不足)を計算するものです。

キャッシュの余剰(不足)の原因を考える

 
キャッシュフロー計算書の仕組みがわかれば、キャッシュフロー改善の方針を立てることができます。
キャッシュの増減と原因を考えることで、キャッシュフロー改善が必要かどうか、キャッシュフロー改善のポイントはどこかが見えてきます。
基本的に、期末のキャッシュが減少している場合には、キャッシュフロー改善を検討すべきです。
例えば、投資キャッシュフローが大幅なマイナスになり、期末のキャッシュが減少することがあります。
この場合、投資の内容によってキャッシュフロー改善の必要性が変わってきます。
健全な投資であれば、将来的なキャッシュフローの増加につながるため、さほど問題ではありません。
しかし、無計画な投資によって投資キャッシュフローが大幅にマイナスになっている場合、将来的なキャッシュフロー増加は期待できないため、早急なキャッシュフロー改善が必要です。

営業・投資・財務キャッシュフローの組み合わせ

 
営業キャッシュフロー・投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローの増減には、望ましい組み合わせと、望ましくない組み合わせがあります。
これが、キャッシュフロー改善の方針を立てるのに役立ちます。

キャッシュフロー改善が必要な組み合わせ

 
営業・投資・財務の3活動の組み合わせが望ましくない場合、キャッシュフロー改善が必要です。
望ましくない組み合わせの典型例は、営業キャッシュフローが「マイナス」、投資キャッシュフローが「マイナス」、財務キャッシュフローが「プラス」の組み合わせです。
まず、どのような組み合わせであっても、営業キャッシュフローのマイナスは悪いと考えてください。
本業で稼げていないことが明らかですから、一時的なものでない限り、早急に営業キャッシュフロー改善が必要となります。
投資キャッシュフローは、基本的にマイナスになります。
投資活動は、投資キャッシュフローにおいてマイナスの動きとなり、資産の売却などによるプラスの動きは一時的なものにすぎないからです。
したがって、マイナスの内容が重要です。
将来につながらない投資であれば、投資キャッシュフローのマイナスは悪いといえます。
投資キャッシュフロー改善のためにも、投資活動を改める必要があります。
財務キャッシュフローのプラスは、基本的に悪いと考えてください。
もちろん、必要な資金の調達(設備投資のための多額の借入れなど)によって財務キャッシュフローがプラスになるのは当然のことです。
また、長期借入や社債・株式の発行などによるプラスは、資金の入りが安定しているため、好ましいと考えることも多いです。
しかし、財務キャッシュフローのプラス(借入れなどの増加)は、返済負担の増加や自己資本比率の低下などの原因になるため、財務キャッシュフロー改善の余地があります。

キャッシュフロー改善が不要な組み合わせ

 
営業・投資・財務の3活動の組み合わせで最も望ましいのは、営業キャッシュフローが「プラス」、投資キャッシュフローが「マイナス」、財務キャッシュフローが「マイナス」の組み合わせです。
営業キャッシュフローがプラスになっていれば、本業でしっかり稼げていることを意味します。
優先的に改善すべき点があれば、営業キャッシュフロー改善は後回しでよいでしょう。
もちろん、営業キャッシュフロー改善に取り組み、さらなるプラスを目指すこともできます。
投資キャッシュフローはマイナスが普通ですから、健全な投資によるマイナスであれば、投資キャッシュフロー改善も必要はありません。
財務キャッシュフローがマイナスになっている場合、返済が順調ということです。
借入金の返済が順調であれば、不動産担保の担保余力や信用保証協会の保証枠に余裕ができ、銀行からの信用も高まります。
もちろん、自己資本比率の向上や返済負担の軽減にもつながります。
この場合、さらなる財務キャッシュフロー改善に取り組むよりも、プラスの維持に取り組むのが良いでしょう。

キャッシュフロー改善の方法を徹底解説!

 
一口に「キャッシュフロー改善」といっても、キャッシュフロー改善には3つの方法があります。
営業キャッシュフロー改善、投資キャッシュフロー改善、財務キャッシュフロー改善の3つです。
営業キャッシュフロー改善を中心に、これら3つのキャッシュフロー改善についてみていきましょう。

要は営業キャッシュフロー改善

 
営業・投資・財務キャッシュフローのうち、キャッシュフロー改善に最も効果的なのは「営業キャッシュフロー改善」です。
投資キャッシュフローと財務キャッシュフローの改善効果には限界があります。
投資に回すお金を減らすことで投資キャッシュフロー改善(投資キャッシュフローのマイナス部分の圧縮)につながるものの、減らせる金額には限界があり、プラスの部分を大きくできるものではありません。
財務キャッシュフローは、資金調達などの健全な理由によってプラスになることがあり、強いて財務キャッシュフロー改善を図れば、却って資金繰り難を招く恐れがあります。
また、財務キャッシュフロー改善も、圧縮できるプラス部分には限界があるのです。
これに対し、営業キャッシュフロー改善には限界がありません。
本業の売上を伸ばすことで、その分だけ営業キャッシュフロー改善につながります。
これにより、投資・財務の赤字をカバーすることもできます。
営業キャッシュフローは「営業活動によるキャッシュフロー」であり、本業の営業活動でどのようにお金が動き、どれだけのお金が残ったかを表すものです。
営業キャッシュフローが大きいほど、本業でお金を生み出す力が大きいことを意味します。
逆に、営業キャッシュフローが小さい会社は、本業でお金を生み出す力が乏しいとみなされ、銀行からの評価も悪化は避けられません。
したがって、キャッシュフロー改善を考えている会社は、投資キャッシュフローと財務キャッシュフローに大きな問題がなければ、営業キャッシュフロー改善を優先すべきです。

営業キャッシュフローを構成する要素

 
キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローは、主に以下の項目によって構成されています(間接法の場合)。

【営業キャッシュフローのプラスになるもの】
税引前当期純利益、減価償却費、貸倒引当金繰入額、売掛金の減少額、棚卸資産の減少額、買掛金の増加額

【営業キャッシュフローのマイナスになるもの】
法人税等の支払額、売掛金の増加額、棚卸資産の増加額、買掛金の減少額

基本的には、上記のプラスの項目が大きくなる、またはマイナスの項目が小さくなれば「営業キャッシュフロー改善」、マイナスの項目が大きくなる、またはプラスの項目が小さくなれば「営業キャッシュフロー悪化」と考えてください。

営業キャッシュフロー改善の方法

 
上記の内容を踏まえて、営業キャッシュフロー改善の方法をみていきましょう。

利益を増やす

 
営業キャッシュフロー悪化の大きな原因は、利益の減少です。
これは、営業キャッシュフローのプラスである「税引前当期純利益」にあたります。
利益が減少すればこの部分が小さくなるため、営業キャッシュフロー全体の悪化につながります。
特に深刻なのは、「赤字」です。
営業活動の中で、お金が出ていったり、入ってきたりするわけですが、入ってくるお金よりも出ていくお金のほうが大きければ(売上よりも経費が大きい状況)赤字になります。
赤字である限り、いくら営業活動を行っても手元に利益が残りません。
したがって、営業キャッシュフロー改善のためには、利益を増やす必要があります。
利益率改善の方法には、販売単価の引き上げ、コスト削減、事業の縮小、業務効率のなどがあり、これらはすべて営業キャッシュフロー改善につながります。

売上を伸ばす

 
売上不振も営業キャッシュフロー悪化の原因です。
信用取引の場合、商品を事前に納品して請求書を発行することで、売掛金が発生します。
支払期日に売掛金を回収することで、初めて現金が入ってきます。
この流れは、あくまでも「売上があること」が前提です。
売上が減少すれば、将来的に入ってくるお金も減少するため、営業キャッシュフローの悪化につながります。
いくら利益率がプラスでも、売上不振であれば営業キャッシュフロー悪化の危険が大きいです。
そこで、営業キャッシュフロー改善のためにも売上を伸ばしましょう。
利益率は横ばいでも、売上が大きくなれば手元に残る資金は増えます。
多少利益率が下がっても、売上を大きく伸ばせば利益が増えることが多いです。
また、売上の増加は全体のキャッシュフローを大きくすることにつながり、銀行評価のアップも期待できます。
ただし、過度な売上主義に陥ってしまうと、却って営業キャッシュフロー悪化を引き起こすため、注意が必要です。
売上が増える際には支出(人件費、広告宣伝費、仕入費用、製造費用など)も必ず増加します。
もちろん、信用取引であれば売掛金の増加も避けられません。
後述の通り、売掛金や棚卸資産の増加は営業キャッシュフローの悪化につながります。
売上の改善による営業キャッシュフロー改善と、それに伴う営業キャッシュフロー悪化のバランスをとることが重要です。

非資金費用を増やす

 
営業キャッシュフロー悪化の原因として、見落としがちなのが「非資金費用」の問題です。
非資金費用とは、現金の支出を伴わない経費であり、減価償却費、貸倒引当金繰入額、賞与引当金繰入額、退職給付引当金繰入額、固定資産処分損などがあります。
利益を計算する際、非資金費用はマイナスとして計上しますが、実際には支出を伴わないため、非資金費用の部分は現金として手元に残ります。
キャッシュフロー計算書は、実際の現金の動きをまとめるものですから、手元に残る非資金費用は営業キャッシュフローのプラスとして計上するわけです。
営業キャッシュフローの項目のうち、売掛金・棚卸資産・買掛金の増加額と減少額は、さほど大きな違いはありません。
ごく大雑把にいえば、営業キャッシュフローは税引後利益と減価償却費の合計であり、銀行が返済原資とみなすのもこの部分です。
したがって、非資金費用が少ない会社は営業キャッシュフローが悪化します。
例えば設備投資の際に減価償却をあまり考えずに投資すれば、営業キャッシュフローの減価償却費のプラス部分が少なくなり、営業キャッシュフローが悪化するのです。
逆に、非資金費用が大きくなれば、営業キャッシュフロー改善につながります。
非資金費用の代表は減価償却費ですから、営業キャッシュフロー改善のためには、減価償却費をできるだけ多く計上するのがよいでしょう。
そもそも減価償却費とは、固定資産を購入した際、取得金額をまとめて経費にするのではなく、一定期間にわたって費用化する仕組みです。
減価償却期間と減価償却額は、固定資産の法定耐用年数や償却率によって決まり、耐用年数と償却率は資産の種類や新品・中古などによって異なります。
この点を工夫して減価償却費を増やせば、営業キャッシュフロー改善につながります。

売掛金を減らす

 
売掛金の増加も、営業キャッシュフロー悪化の大きな原因といえます。
日本の企業のほとんどは信用取引によって取引しています。
売掛金は、信用取引によって発生する金銭債権です。
これにより、売り手企業は「支払期日に代金を受け取る権利」を有します。
売上が増えれば売掛金も増えるため、一見すると営業キャッシュフロー的にもプラスに見えるのですが、実際にはそうではありません。
売掛金は「支払期日に代金を受け取る権利」であると同時に、「支払期日まで代金の受け取りを待つ義務」です。
つまり、売掛金には立替金としての側面があり、売掛金の増加は立替金の増加を意味します。
売上があがって売掛金が発生した際には、立替金として一時的に(支払期日までの間)支出が発生するため、営業キャッシュフロー的にはマイナスになるのです。
当然ながら、売掛金の増加と営業キャッシュフローの悪化は比例するといえます。
したがって、営業キャッシュフロー改善のためには、売掛金を減らすのが効果的です。
例えば、「現金取引の割合を増やす」「売掛金の回収サイトを短縮する」「売掛金を早期資金化する」などの方法によって売掛金を減らすことができます。
現金取引の割合を増やしたり、回収サイトを短縮したりするには、売掛先に契約条件の見直しを求める必要があるため、交渉が難航することが多いです。
自社にとっては「売掛金の減少(=営業キャッシュフロー改善)」でも、売掛先にとっては「買掛金の減少(=営業キャッシュフロー悪化)」となるため、売掛先としては避けたいのです。
契約条件の見直しには時間をかけて取り組むとして、短期に営業キャッシュフロー改善を目指すならば、売掛金の早期資金化が良いでしょう。
売掛金の譲渡・売却によって早期資金化すれば、手元の売掛金を確実に減らすことができ、営業キャッシュフロー改善にもつながります。

棚卸資産を減らす

 
棚卸資産の増加も、営業キャッシュフロー悪化の原因です。
商品や原材料などの在庫を仕入れた場合、貸借対照表では棚卸資産として計上します。
しかし、棚卸資産の増加は、営業キャッシュフロー的にはマイナスです。
というのも、在庫の仕入れによって資金が減少するからです。
棚卸資産が増加すれば、在庫の仕入れのために出ていくお金も増えることを意味します。
したがって、棚卸資産の増加は営業キャッシュフローの悪化につながります。
もちろん、営業のためには仕入れが不可欠ですから、適切な仕入れのために棚卸資産が増加することは、さほど問題ではありません。
しかし、無計画な仕入れによって過剰在庫を抱えたり、捌ききれなかった在庫が劣化して不良在庫を抱えたりすれば、営業キャッシュフローの悪化は深刻化します。
したがって、営業キャッシュフロー改善のためには、棚卸資産を減らすことが重要です。
仕入れをコントロールして余剰在庫を避けるならば、棚卸資産を必要最低限に抑えることができます。
「販売機会を逃さないためにも…」といった理由で多めに仕入れている会社は、仕入れをコントロールするだけで営業キャッシュフロー改善が可能です。
現時点ですでに過剰在庫・不良在庫を抱えているならば、ディスカウントして売却し、棚卸資産の削減に努めましょう。
在庫を抱えている限り、棚卸資産によるマイナスが大きいため、営業キャッシュフロー改善は困難です。
大幅に値引きすれば赤字が発生するでしょうが、赤字による営業キャッシュフロー悪化は一時的なものです。
それよりも、長期的な営業キャッシュフロー改善の効果のほうがはるかに大きいといえます。
在庫を適正水準に保てば、仕入れによる資金の流出が減るだけではなく、在庫管理コストも削減できます。
棚卸資産を減らすことは、「仕入れ費用の削減」「在庫管理コストの削減」のふたつの意味で、キャッシュフロー改善につながるのです。

買掛金を増やす

 
売掛金と同じく、買掛金も営業キャッシュフローに影響します。
現金取引ではなく信用取引によって仕入れた場合、自社は買掛金を負います。
買掛金は、支払期日に仕入れ代金を支払う義務のことです。
買掛金の減少は営業キャッシュフロー悪化につながります。
買掛金は、「支払期日に仕入れ代金を支払う義務」であると同時に、「支払期日まで仕入れ代金の支払いを猶予してもらう権利」でもあるのです。
仕入れ自体が減った場合を除き、買掛金が減少したということは、現金取引の割合が増えたり、支払い期日が早くなったことを意味します。
つまり、「買掛金の減少=仕入れに伴う現金の流出の増加」ですから、営業キャッシュフローが悪化するというわけです。
そこで、営業キャッシュフロー改善のためには、買掛金を増やすのが効果的です。
買掛金を増やす方法は「現金取引の割合を減らす」「買掛金の支払サイトを長くする」などがあります。
買掛金の増加による営業キャッシュフロー改善効果について、簡単に計算してみましょう。
例えば、毎月1000万円の仕入れを行うとします。
この仕入れをすべて現金取引とする場合、手元の買掛金はゼロとなります。
仕入れのたびに1000万円の資金が流出するのですから、営業キャッシュフロー的には1000万円ものマイナスです。
これを、50%を現金取引、50%を信用取引(支払サイトは1ヶ月)とすれば、月当たりの買掛金を500万円に増やすことができ、営業キャッシュフロー改善につながります。
この支払サイトを2ヶ月に伸ばすことができれば、月当たりの買掛金を750万円に増やすことができ、さらなる営業キャッシュフロー改善が可能です。
基本的には、売り手よりも買い手のほうが強いため、買掛金を増やすのは比較的簡単です。
仕入れ先に支払い条件の見直しを求めたり、仕入先を変えたりすることで、営業キャッシュフロー改善をめざしましょう。

投資キャッシュフロー改善の方法

 
投資活動に問題がある会社は、投資キャッシュフロー改善が必要となります。
投資キャッシュフローは、営業拡大のための投資や、余裕資金の運用など、本業以外の投資活動による資金の動きと、その結果を示すものです。
投資キャッシュフローの具体例は以下の通りです。

【投資キャッシュフローのプラスになるもの】
有価証券の取得による支出、固定資産の取得による支出、貸付けによる支出など

【投資キャッシュフローのマイナスになるもの】
有価証券の売却による収入、固定資産の売却による収入、貸付金の回収による収入など

投資キャッシュフロー改善のためには、プラスを目指すのではなく、マイナスの圧縮を目指すのが基本となります。
そもそも、投資キャッシュフローは基本的にマイナスになるものです。
もちろん、有価証券や固定資産の売却により、投資キャッシュフローがプラスになることがあります。
しかし、これはあくまでも一時的にプラスになるだけです。
単に一時的にプラスになっただけでは、キャッシュフロー改善とはいえません。
また、営業キャッシュフロー改善のためには利益や売上を増やす必要があり、そのために必要なものには積極的に投資すべきです。
投資キャッシュフローがマイナスになることを前提として、適切な投資に努め、不要な投資によるマイナスの増大を防ぐことが、結果的にキャッシュフロー改善につながります。
営業キャッシュフロー改善によって生み出したキャッシュフローによって、投資キャッシュフローを賄うのが理想的です。

財務キャッシュフロー改善の方法

 
財務キャッシュフローは、主に借入れによるお金の出入りを扱います。
財務キャッシュフローの例は以下の通りです。

【財務キャッシュフローのプラスになるもの】
短期借入による収入、長期借入による収入、社債の発行による収入、株式の発行による収入など

【財務キャッシュフローのマイナスになるもの】
短期借入金の返済による支出、長期借入金の返済による支出、社債の償還による支出、自己株式の取得による支出など

財務キャッシュフローのプラスは、必ずしも悪いとは限りません。
むしろ、キャッシュフロー改善のためには必要といえます。
キャッシュフロー改善のためには、営業キャッシュフロー改善が軸となります。
営業キャッシュフロー改善のためには、売上・利益を増やすために適切な投資が必要です。
投資活動には多額の資金を要するため、これによって生じる投資キャッシュフローのマイナスを、長期借入によって賄う必要があります。
当然ながら、長期借入をすれば財務キャッシュフローはプラスになるというわけです。
もちろん、キャッシュフロー改善に取り組むかどうかにかかわらず、資金繰りのためには資金調達が不可欠ですから、財務キャッシュフローのプラスはやむを得ません。
それを前提として、財務キャッシュフローはできるだけマイナスになるのが望ましいと考えてください。
財務キャッシュフローがマイナスになるということは、借入金の返済が順調ということです。
借入金を返済できるということは、返済原資をしっかり確保できているということです。
もっといえば、営業キャッシュフロー改善が順調に進み、それによって利益を確保できたともいえます。
つまり、キャッシュフロー改善の成果が「財務キャッシュフロー改善」という形で表れることも多いのです。

キャッシュフロー改善 人件費編

運転資金が足りず従業員の給料が払えない危機に直面したことはありますか?

「ある」と答えた経営者は少なくありません。

実際に給料が払えず、支払い遅延や未払いなどの問題に発展するケースもあります。

特に、支出の大半が人件費となっている建設業、IT業などはこのような危機に発展しやすいです。

なぜ、人件費が払えないケースになるのか?そして、それを回避する有効な手段は何か?ご説明させて頂きます。

ファクタリングはこんな方におすすめ

人件費が払えなくなる大きな理由

一番大きな理由はズバリ売上と人件費がリンクしていないことです。

よくあるケースが、売掛先からは5月に行った仕事は5月末で締めて6月末に入金されます。

ですが、従業員が5月に行った仕事の給料は、会社によってまちまちですが6月25日までに支払われます。

少なくとも5日間は、会社の余剰資金から従業員の給料を立て替えるかたちになります。

もちろん資金に余裕がある会社ではなんの問題はございませんが、資金に余裕がない会社はいろいろな選択を迫られることになります。

月末は従業員の給料以外の引き落としや支払いが多くあり、本当に資金が足りない場合は従業員の給料かその他の支払いか究極の選択を迫られることにもなりかねません。

このような問題を回避するにはどのようにすればいいのでしょうか。

常に1ヶ月分の運転資金を確保しておけば問題ないです。

ですが、資金でお困りの会社はこれが至難の技です。

1ヶ月分の運転資金を確保できない前提でこのようにならないようにする方法をお伝えします。

意外に簡単!まずは行動する!

まず、以下の内容は取引先(売掛先)も関係しているので確実にできる保証はないことをご理解ください。

①取引先(売掛先)の支払いフローを変更してもらう

一般的な支払いフローは末締め翌月末払いです。

これが当たり前になり変更できないと思い込んでいる経営者は少なくありません。

実は、取引先(売掛先)と相談して支払いフローを末締め翌15日払いとかに変更できたケースは少なくありません。

たとえ、大手企業であっても相談すれば変更してもらえるケースはあります。

ただ、変更されるまで数ヶ月かかるケースもあるのでそのつなぎ資金を調達しなければいけません。

②給料日を変更する

取引先(売掛先)からの支払いフローを変更するよりも難易度は高いですが、やり方によっては可能です。

取引先(売掛先)の支払いが末締め翌月末払いになる場合、従業員の給料日を末締め翌々月5日とかに設定するのも一つの手段です。

ただ、何もなくいきなり給料日を変えたのであれば従業員からの反感やモチベーション低下に繋がってしまいます。

きちんと説明した上で何かしらの条件を提示する必要があります。

まずは、きちんと説明することです。

取引先(売掛先)からの入金が入ってから給料を支払いたいというのは意外に受け入れてもらえます。

ただ、従業員の皆さんも生活がありますのでわかっていても受け入れられないケースが多いのも現状です。

その場合、条件提示と選択肢を与えることです。

給料日を末締翌々月5日にしてもらえるなら基本給を1万円あげるなどの条件提示と本人に選択権を与えることです。

意外にこれで変更できるケースが多いです。

ただ、こちらも従業員と話したり社内調整する時間もありますので数ヶ月かかってしまいます。

キャッシュフロー改善にはつなぎ資金が必要

すでにおわかりかと思いますが、時間をかけさえすれば改善できる問題は少なくはありません。

まずは、計画を立て必要な分のつなぎ資金を調達することです。

早急なつなぎ資金調達がキャッシュフロー改善の第一歩です。

すでにこの記事を読んでいる方ならご存知だと思いますが、早急に資金調達できるのがファクタリングです。

弊社のファクタリングサービスが御社のキャッシュフロー改善の第一歩になることを心より願っております。

まとめ:キャッシュフロー改善はNo.1におまかせ!

この記事では、キャッシュフロー改善の基礎知識から具体的な方法まで詳しく解説しました。
キャッシュフロー改善を頭で理解するのは、それほど難しいことではありません。
しかし、いざキャッシュフロー改善に取り組むとなると、様々な困難が伴います。
キャッシュフロー改善を目指して、却ってキャッシュフローが悪化することも多いです。
したがって、自社で独自に取り組むのではなく、必ず専門家に依頼してください。
キャッシュフロー改善を得意とするコンサルタントの協力を得ることで、確実なキャッシュフロー改善が可能となります。
No.1では経営支援コンサルティングを行っており、キャッシュフロー改善にも強みがあります。
キャッシュフロー改善にお悩みの方は、ぜひNo.1までご相談ください。

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